スケートボードのリペア計画

フリーマーケットでスケートボードを買いました。

1970年代のモノでグラスファイバー製です。「ささやき」にも書いたんですが、僕は

幼少期スケボー少年でした。と言っても当時は今みたいに跳んだりはねたりする

様なモノではなく、パイロンをスラロームで抜けたり、坂を下ったりする様な遊び方

がメインです。僕もそれがやりたくてやりたくて、木の板にどっかから見つけてきた

多分家具用のキャスターを付けて自作。ただ全く転がらない上すぐに壊れるので

両親にお願いし、自分のお年玉も継ぎ足して本物のスケボーを手に入れました。

それは木の板に僕が付けたよりすこしマシなキャスターがついているレベルの物

で(とはいえキャスターが直についているわけではなく「トラック」と呼ばれる車軸

みたいな奴にタイヤがついていました)タイヤも確か鉄みたいな硬いやつで

そいつで滑ると「ガー、ガー」ともの凄い音がしました。でも本物のスケボーです。

嬉しくて乗りまくりましたね。でものめり込めばのめり込むほど分かってくるんです。

自分のものが「最も安い」物であり、「ろくに使えたモンじゃない」と言うことが。

そんなある日いつもの如く公園で遊んでいると大きなお兄さん(と言っても多分

高校生ぐらいだったかも)が、「君いつも練習してるよね。ちょっと僕のスケボーに

乗ってみない?」と言ってくれました。そのスケボーは確かスーパーカーの写真

みたいな柄だったような気がするんですが定かではありません。が、ハッキリと

覚えているのは僕のボードと違って一蹴りすると「このままどこまでも行ってしまう

んじゃないか」と思うほどスムーズに滑ること、そして「殆ど音も振動も無い事」で

す。本当に僕が持っているのとは全く別物で、それに乗らせて貰ったあとは自分の

スケボーに乗るのがとても恥ずかしかったのを覚えています。(うるさいからね)

さて、そのボードは見たことがない素材で出来ていました。僕が知っているものは

「木」か「プラスチックみたいな素材」なんですが、それはなんだかプラスチックの

様で全く違うようで、なんだかさっぱり分からない。「これは何で出来ているので

すか?」と聞いてみると「グラスファイバーという物で、ガラスだよ」と教えてくれ

ました。ガラス?だったら割れちゃうじゃないかと思いそう言うと「これは特殊な

ガラスの繊維だから木やプラスチックよりよっぽど丈夫なんだ」と言ってました。

それからはもうそのグラスファイバーのボードがほしくてほしくてほしくてほしくて。

もうそのことばっかり考えちゃうわけですが、とてもじゃないけど買えるものじゃ

無いわけです。今の僕にブガッティーのヴェイロンを買えというような物です。

「頑張って買おう」とかそう言うレベルじゃない。

結局その後プラスチック(みたいな)素材の物を買って貰いましたが(これはこれ

であのうるさい「ガー、ガー音」がないので良かったんですが)、あこがれのグラス

ファイバーのボードは手に入れられずじまいでした。

さて、前置きが長くなりましたが(年寄りは昔話が長いからね)、あるフリーマー

ケットで当時憧れた「グラスファイバー製」のスケボーを目にしました。

今のスケボーみたいに前後同じ形で同じように両側が跳ね上がっているのと

違い、流線型をしていて後ろ側がすこしすぼまっており、跳ね上がってるのは

後ろだけ。細めの割に幅のある透明の赤いタイヤ。これですよ!これなんです!

きっちりディスプレイされた他の物と違ってこいつは段ボールの箱に「ジャンク」

と言った感じで放り込まれておりタイヤは回らず傷だらけ。トラックもサビ錆で多分

そのままでは使えない感じ。それには「¥2500−」という付箋がセロテープで

貼り付けられていました。それを手に取った瞬間、なんだか熱い物がこみ上げて

来ましたよ。すぐさま「これ下さい」と言いそうになりましたが、根っからの貧乏性

(と言うより物を大切にする性分と言って欲しい)なのでしょう。「これ、傷が多いし

タイヤも回らない。シャフトの所(あえてトラックと言わなかった)は錆だらけだし

もう少し安くなりませんか?」と聞きました。

「じゃぁ2千円でどう?」と言う答えを想像し「1500円になりません?」と言う返答を

用意してたんですが、「じゃ、千円」と。え?いきなりですか?思わず「1500円に

なりませんか?」と言いそうになりましたよ!代わりに「あの、えっと、じゃください」

と言って財布から千円出して渡しました。袋とかがないけどと言われそんな物は

要りませんと小脇に抱えて帰ってきました。

さて、僕はこれ飾りにするつもりで買ったわけではありません。

欲しくて欲しくてたまらなかったグラスファイバー製のスケボー。当時いくらだった

のか思い出せませんがとにかく「買ってくれ」と言うことすら出来ない様な値段だ

った記憶があります。それが今僕の手元にあるわけです。

本体は本当に傷が多いですがヒビなど致命的なダメージはありません。テール部

が削れていますが、これこそ当時のスケボー。昔は停まるときに前を跳ね上げ

テール部を地面にすりつけて停まることもあり、その時削れるわけですが、確か

削れ止め(ただ単に板を張り付けるだけだけど)も売ってたんだよなぁ・・・。

それはいいとしてタイヤは何とか使えそうですがベアリングは絶対にダメでしょう。

トラックは錆だらけですが錆を落とせば何とかなりそう。まずはウィール(タイヤ)を

取り外すところから始めました・・・が、はずれない。タイヤを止めているナットは

はずれたんですがタイヤはびくともしない。トラックも新品に変えるという手も

ありますが、当時のボードは今のに比べてトラックの幅が狭いんです。

なので何とかこれを使いたい。それにこのウィールも使いたい。これも今の物と

違いすこし径が小さく幅が広いんですね。何よりこれこそ憧れたウィールです。

ドライバーでこじったり、そっと叩きつつ抜き取り始め5分ほど奮闘すると一気に

外れ、同時に錆びきったベアリングの球が飛び出てきました。完全にベアリングが

腐食していたんでしょう。ウィール4つともとも全てそんな状況。見たところ多少

ダメージはあるけれどベアリングを帰ればウィールは使えそうです。ほっと胸を

なで下ろしベアリングとこれまた悲惨な状態だったトラックブッシュを注文しました。

あとはトラックとそれについていたビスの錆び落とし、本体を磨いて組み付ければ

いいだけです・・・・と思っていたんですが大問題発生。なんとウィールにベアリング

の外輪が残ってしまっています。要するにそれを外さないと新しいベアリングが

装着できないんですが、これがどうしても取れないんです。ムリするとウィールも

使い物にならなくなりそうです。なのでこいつは時間をかけて直すとしてウィール

も新しく買わねばならなくなりました。ヤフオクで同じものを探すと「ビンテージ」

なんて言いつつ1個で3千円とか4千円します。なのであきらめて最近の物のうち

一番雰囲気が近い物をチョイス。径は1センチ大きく幅は5ミリ短い。数値で見ると

そんな変わらないジャンと思うでしょ。身長180センチで70キロだった友達が

160センチ100キロになっていてご覧なさい。別物だっての分かるでしょ?

とはいえ仕方ないからね。トラックとそのビスの錆をせっせせっせと落とし、本体を

磨く。でもあんまり綺麗にならない。日焼けみたいな褪せもありますが「美しく

再生」するのではなく「乗れるようにする」のが目的ですからね。