デジカメとフィルムのカメラ

何度か書いていることではありますが、僕はデジタルカメラを使うのをやめました。

その理由をいくつか挙げますと、まず第一にデジタルカメラは古くなるとゴミになります。

一つの物を長く愛用するのが好きな僕としては、その持ち物が「ゴミ」になってしまう

のが耐えられない。パソコンもそうですが「壊れる」とかそう言うことではなくてその物

自体の価値が急速に失われ、システム上対処できないなど「強制的につかえ無く

されてしまう」事があるというのがいやなんです。

もう一つは「デジカメで撮った写真は思い出に残らない」と言うこと。記録として残ります

が、デジカメで撮るとなぜか「記憶」に残らないんです。

20年ほど前、現像などがいらないのは楽だし経済的だなと思いデジカメを買おうと

そう言うのに詳しい友人に相談すると、キャノンのパワーショットG5と言うのがいいと

言われそれを買いました。その頃お金のなかった僕にとってかなり高額な買い物

でした。でもまぁ、「長く使えるのであればしょうがない」と思い、意を決して買った

わけです。しかしフィルムカメラの時代の人間ですからそんなにパシャパシャ写真を

取らない。使い方が「フィルムカメラのそれ」だったため、殆どデジカメの恩恵にあずか

らないうちに、僕のデジカメはどんどん型遅れになり、画素数で言えば使い物に

ならないレベル。おまけにバッテリーもメディアも供給が停止され、「壊れたらおしまい」

と言う状況に。かくしてまだぴかぴかの僕のG5は「ゴミ」になってしまったわけです。

使おうと思えば使えるのかも知れません。しかし大きいし、重いし、画素数が少なくて

大した枚数も撮れず、メディアの容量は32M(ギガじゃないですよ、メガです)。

バッテリーがダメになっているので数枚撮るとおしまい。そんなカメラ使いますか?

誰も使いませんよ。もしバッテリーやもっと容量の有るメディアを供給してくれていたら

もしかして僕は使っていたかも知れません。しかし僕が望んでもメーカーはそれを

許してくれませんでした。

・・・・・デジカメは必ずゴミになる・・・・。

デジカメが好きな友人にそれを話したところ、「買ってまだ新しいうちに、次のモデルが

出たらすぐに売るんだよ」と言います。デジカメを使う私が尊敬する先輩も同じ意見

だったのでそう言う物なのでしょう。

しかし一つのスイッチがいくつもの機能を兼用していたり、そのスイッチで何かの

機能を呼び出して使う様な複雑なシステムのデジカメを、皆さんはそんなにすぐに

使いこなせる様になっているんでしょうか?

やっと使い方が分かったと思ったら、そのカメラは既に「型遅れ」になり、まだまだ

使えるはずなのに「電池が」とか「メディアが」という理由で「ゴミ」になったり

しないんでしょうか?デジカメは確かに枚数はやたらと撮れるので、長期の旅行など

荷物を減らしたいときには便利かも知れません。

しかしここにも落とし穴があるわけです。やたらとパシャパシャ写真を撮ると、その写真

1枚1枚のありがたみが減り、しかもその時の「思いで」まで薄く削り取ってしまって

いるように思います。つまり先に書いた「記録」は残るけれども「記憶」には残らない。

デジカメを使うようになると写真の枚数がやたらと増えますね。何から無いまでパシャ

パシャと写真に撮ります。フィルムカメラの時代は「何気ない写真」よりも圧倒的に

「今から撮りますよ」と身構えている写真の方が多かったように思います。

と言うのもフィルムを無駄に出来ないから。フィルムも現像も高価だからです。

だから「ここぞ」という一枚を選んで気合いを入れて撮影をする。

それ故に写真を撮ったときの状況が結構ハッキリと頭に残っていたりして、その後

その写真を見つつ「あぁ、このときはあぁだった、こうだった」と記憶がよみがえって

来るわけです。対するデジカメはいかにも普通、まるで身構えていない写真が多い

様に思います。枚数もフィルムカメラに比べ数倍から数十倍。しかしそれらの写真を

見返したときに「あれ?こんなことあったっけ?」と思ってしまうことがある。

写真を撮ったときの状況が思い出せなかったりするんです。

それ以前にデジカメはパソコンにダウンロードしてしまうと「見ること」すらしない場合も

あります。で、後からそのパソコンがダメになり写真を何とかしようとあたふた。

そしてとりあえずDVD等に落とし込んだ写真達はその後ほぼ日の目を見ることは

無くなります。対するフィルムカメラは「現像」に出して写真が帰ってくるまでがまた

楽しくドキドキする時間となります。写真が帰ってきたらきたで、みんなでわいわい

それを見ながら楽しめます。

もうそんなことを言っている時代じゃないのは分かります。

今更フィルムカメラなんて・・・・・・。

でも僕はフィルムカメラに拘ります。デジカメはあくまで「予備」若しくは「仕事用」であり

家族や仲間と旅行に行ったりするときは、僕はフィルムカメラでその時の様子を収める

事に決めました。

今愛用しているのはキャノンのSB、AE−1、そしてニコンのF4にコンタックスのT2

です。特にお気に入りはF4。いや、どれも気に入っているのですが、最近目が悪くて

レンジファインダーのSBやマニュアルフォーカスのAE−1は撮影するのに時間が

かかってしまうんです。なのでコンタックスT2をスナップ用に持っているのですが、

オートフォーカスの1眼なら自分でピントを合わせなくていいのでせかされて焦って

シャッターを切り、後でピンぼけだったなどと言うこともありません。それ故F4の出番が

俄然増えてきております。普通で考えればこれだけ重くてでかいカメラは敬遠され

がちだと思いますが、その大きさや重さも愛着に変わりつつある今日この頃。

それにこのF4、何が素晴らしいかって、ボタンやダイヤルが機械式のそれと同じように

一目瞭然で分かるシンプル機能である上に、機能を重複しているボタンが有りません。

つまり電池があろうが無かろうが、今カメラがどういう状態か(絞りやシャッタースピード

などの状態)が一目瞭然。もしこれからフィルムカメラを始めたいと思われる方が

いらっしゃるのであれば、僕はこのF4が一番お勧めです(と言っても僕はカメラの

知識はあまりありません。偉そうなことを言える立場じゃないんですが)。

何よりニコンのフラッグシップで、当時はボディーだけでも22万だか23万円もした

最高級機種であるにもかかわらず、ボディーがプラスチックだと言うだけで不人気

となってしまい中古ならばレンズ付きで2万弱で状態のいい物が手にはいると思い

ます。本当に価値のある物が、その価値よりも遥かに安い価格で手に入る。

僕はニコンのF4は「ものすごくお買い得」なカメラだと思います。

ちなみにもしこのカメラのボディーがメタルだったら、今でも普通に10万円以上で

取引されるのではないかと思います。あるいはプレミアが付いてもっと高いとか。

いずれにしろ世界中の人がパソコンを含めた「使い捨て」の商品、すぐに修理が

出来なくなったり部品の供給が無くなって強制的に使えなくなってしまう商品に

たいして、もっとシビアな目を向けるべきだと思います。

少し話の方向が変わってしまいましたが、結局の所デジカメはデジカメでメリットは

多いのだと思います。しかし僕にはあわない。これは世の中の流として仕方が

ない部分もあるのだと思うのですが、フィルムが完全に供給されなくなるとか、

或いは僕の持っているカメラが壊れてどうにも修理が出来なくなるまで、僕は自分の

思い出は銀塩フィルムで撮り続けたいと思います。