ご存知だとは思いますが、僕はハーレーダビッドソンに乗っています。

子供の頃見たテレビドラマで館ひろしさんが乗っていたローラーだーが衝撃的な

位かっこよくて、いつか絶対に乗ると決めていたからです。

初めて手に入れたときのことは良く覚えています。もううれしくてうれしくてたまらなく、

そこら中乗り回したものです。

30年近く乗り続けてもなお、ハーレーに乗っているときは心躍るものが有ります。

・・・・あるのですが、購入して数年たってから、どうももやもやとした釈然としない

ものが胸の中に渦巻いていたのも事実。

それがなんだか分からずに「ハーレーは好きだけどハーレー乗りは嫌い」という言葉で

表現したりしたこともあるのですが、段々その理由が分かってきたのでちょっと書いて

みたいと思います。

まずは結論を書きましょう。

ハーレーは「僕が求めるバイク像とはほど遠い。」と言うことです。

200ccのバンバンに乗るようになってハッキリと分かったことがあります。僕にとって

バイクの楽しさと言えば「軽快感」なんです。

何処かに行くときさっとまたがって出かけられる。目的地に着いたらさっと駐められる。

パワーを余すことなく使ってエンジンと会話する感覚を楽しむ。コーナーでは車のような

横Gではなく、バンクさせることによる一体感を感じられる。車が渋滞していても、バイク

はその間を縫って走ることが出来る、等。

残念なことにハーレーはこのどれもがかけています。

まずは乗るのにバイクをガレージから出すのが一苦労。目的地についても結構がたいが

でかいので、迷惑にならない駐輪スペースを探さなくてはいけない。ビッグエンドを共有

する2気筒という訳の分からないエンジン構成のため、高回転でパワーバンドに乗せる

楽しさなどまるでない。車の間を縫うことは出来るものの、大きな車体のせいで車の

ドライバーの迷惑になる可能性があるからやるべきじゃないし、なんと言ってもバイクの

大きな楽しさの一つである「コーナー」は全く苦手。

苦手ってか「曲がれない」ってレベル。ソフテイルのバンク角はなきがごとし。交差点で

普通に曲がろうとしてもどこかすりますので、コーナーの手前の減速は絶対。

これが高低差のある峠ののぼりヘアピンなどだともう「恐怖」ですよ。

「全く」と言っていいぐらいバンク出来ないから、とまる寸前までブレーキングしてハンドル

で曲がる感覚です。車高なんか落としていたらもう峠は走れないと思った方がいい

かもしれないですよ。

さて、ではハーレーはダメバイクなのでしょうか。そうです、ダメバイクだと思います。

もし求めているものが僕に近いのであれば、ハーレーを買ってもしっくり来ないか、その

うち飽きてしまうかでしょう。じゃぁ、ハーレーはダメなのかと問われれば、答えはNO

だと思います。

一体何が言いたいんだと思うかも知れませんが、つまりハーレーは「ハーレー」って

ことですね。バイクに乗ると「ハーレーに乗る」はイコールじゃないかも知れないと言う

事です。

ソフテイルやツーリングファミリーにまたがって思うのは、「馬の乗馬姿勢に近い」と

言うことではないでしょうか。なんか日本車よりも、馬感が強いというか、馬にまたがって

自然に手綱を握った感じになる。まぁいろいろご意見もあるかと思いますが、続けます。

次に音ですね。

エンジンをかけると他のバイクは「フォォォォン」とか「ドコドコドコドコ」とか「ボボボボ」

と連続した音になるのに対し、ハーレーは「タカタンッ・タカタンッ・タカタンッ・タカタンッ・」

とリズムを刻みます(ハーレーもツインカム以降はアイドリングが連続音になってしまい

ましたし、ショベル以前のエンジンでも回していけば連続音ぽくなりますが)いわゆる

「鼓動感」と表現される物だと思うのですが、ハーレーはこれがとても強いですね。

つまり「バイクに乗っている」と言うよりも「馬に乗っている」感覚に近いのではないかと。

と言うことはつまり、バイクにまたがり、そのパワーとの一体感を望み、自分の力を昇華

させていくと言うよりは、バイクとの会話を楽しみながら、自分たちの力の範囲でトコトコ

と移動していくと言う楽しみ方が有っているのではないかと思うのです。

ここまでお話ししたことをまとめてみますと、「すり抜けなどがしにくい」「回転に乗せて

走るバイクではない」「コーナーがとことん苦手」「早さよりものんびりとした一体感」

と言うことになるわけですが、バイクに乗るスリルと高揚感を手放すのと引き替えに、

他のバイクでは手に入りにくい「安全(運転をせざるを得ない状況)」が手にはいると

言うことです。これがまさに僕がハーレーに乗っている理由です。

元々サーキットやら峠をステージとしてた僕にとって、乗っていて高揚するバイクは

SSとかネイキッド。でも初老の域にさしかかり動体視力も反射神経も衰えているのに

感覚だけは昔のまま残っている訳です。そんなオッサンが速いバイクに乗ったら一体

どうなるか容易に想像が付きます。・・・・・・怪我しますね、多分。

一言付け加えたいのですが、「昔だったら怪我をすることはなかった」状況においても

今は「怪我をする可能性がある」と言うことを理解しないといけないと思うのです。

とはいえお気に入りのバイクに乗ってエンジン回してハイになっているときに、そんな

冷静さを保てと言ってもなかなか難しい。そこを諫めてくれる(と言うか許してくれない)

のがハーレーなんです。僕にとっては。

今となっては自慢になるバイクでも偉いバイクでもなんでもない一般的なバイクとなった

ハーレーに乗る人で、僕と同じ気持ちの人がどれほどいるのかなぁと思います。

スポーツスターは別ですが、ツーリングやソフテイルファミリーはもちろん、ダイナですら

速く走るバイクではないと思います。というか、速く走ろうと思ってはいけないバイクだと

思います。にもかかわらずハーレーで国産のスポーツバイクと勝負したがる人が

たまにいますが、本当に速いバイクに乗ったことがある人、或いは早さを求めていた人

であるならば、そんなことは思わないでしょう。

ハーレーしかないアメリカの方はハーレーで早さを求め無ければいけないのかも知れ

ませんが、これだけ性能のいい速いバイクがいくらでも手に入る日本において、ハーレー

に早さを求めるのはちょっともったいない。

速く走りたいのであれば日本のバイクに乗りましょう。

そう、ハーレーは速いとかカッコイイ(まぁかっこいいですが)と言うのではなく、なんと

言っても「安全で愉快な(楽しいともちょっと違う)」バイクなのだと、そう思います。












僕が何故ハーレーに乗るのか