いにしえの50ccバイク

ホンダのスカッシュというバイクをご存知でしょうか?確か1980年辺りにホンダから

発売された小さなスクーターです。

まぁ、モンキー(50ccのやつね)とかと同じぐらいの大きさと思っていただければ

良いのですが、車に積むことを前提としているため、ハンドルが折れ曲がります。

(モトコンポの兄弟車という位置づけと言っている方もいるようですがちょっと違う

みたいですね)

で、ひょんな事からそのホンダスカッシュを手に入れました。

ちなみに当時のコマーシャルは、現在資産100億円を越えるとも言われている

タモリさんが出演されておりました。

ネットから拝借した画像です。




おぉ!なんと言うことでしょう!本当にタモリさんです・・・・って、僕タイムリーに

このCM見てましたよ。それはいいんですが、ね、小さいでしょ。

全長で1280mmしかないようですね。

で、いきなり本題に入りますがこのスカッシュを手に入れました。

不動の状態で手に入れ何とか動くようにしましたが、乗ってみるといろいろな思いが

わき出てきたのでここに書くことにしました。

まず最初にその乗り味です。

・・・・・一言で言って昭和のスクーター。昭和の・・と言ってもジョグやらラブ3やら

DJ−1等という高級なスクーターじゃないですよ。ロードパルとかパッソルのそれ。

アクセルをひねってもすぐには前に進まず、一拍おいてから「よっこいしょ」と

走り出す。最高速は50キロちょっと。とてもじゃないけど車の流には乗れず、

邪魔にならぬようひたすら左端をガードレールにハンドルすりそうに走るんですが

腐っても2スト。10キロを超えるぐらいでパワーバンドに入ったのが結構ハッキリ

分かり、そこからのアクセルの付きはなかなかです。

最近のバイクにしか乗ったことがない人は分からないと思いますが、この2ストの

「パワーバンドに入った感」はかなり中毒性があり、そこをキープして走る楽しさ

と言ったら執筆に尽くしがたいですよ。こんな単なるスクーターですらそうなんです

から、昔の250cc2ストスポーツが如何に楽しかったことか・・・・。

とにかく「あ、力出てきた!!」と言うのが分かり、何とも楽しい。

ちなみに全長が短すぎて直進安定性が無く、最初ちょっと怖かったのですが

慣れればなんてことありません。ちょっと近くのコンビや友人宅を訪れるときに

最高で、これまでその役を担っていた他の愛車「カブ号」の出番が減りそうです。

次に見た目ですが(まずはそっちだろ!と言う声はさておいて)何ともキュート。

まぁ、見た目って位ですから見りやぁ分かるんでしょうが、この小ささは正直言って

少し実用性には欠けると思います。が、あえてこの小ささ。元々モトコンポなどと

同じく、車載を前提としたバイク・・・・と言いながら、おそらくこんなの車に積んで

あちこち持って行くなどホンダさんも思ってないでしょう。何しろ車載という意味では

「モトコンポ」がその元祖であり、こちらはその形状含め本気で「車載」を考えて

いたと思うのですが、スカッシュはいわば「シャレ」で作ったんだと僕は思っています。

なので車に積むにはあまりにスクーターの形過ぎますが、それでもその気になれば

今のミニバンに余裕で積めます。重量も50キロ切っているので、一人で簡単に

積み降ろしが出来ます・・・けれど、もう一度言います。ホンダさん、これ車載等でなく

「シャレ」で作ったとしか思えません。

何しろこの頃のホンダはラリって企画したとしか思えないようなバイクを色々リリース

しており、本気系で言えばMVX、チャレンジ系で行けばビート、そしてちょっとだけ

ふざけちゃおっか系でモトラやスカッシュです。

本当に、本当に、本当に、いい時代だったと思います。世の中にこういったシャレを

許容する余裕があったと言うことでしょうね。

そんな余裕の時代にシャレで生まれたスカッシュ。これからも大切にせず、ガンガン

乗りたおしてやろうかと思っています。

・・・・と書いてふと思ったのですが、おそらくこういうバイクは二度と世にリリース

されないでしょう。

まずはその形です。さっきも書きましたが当時の日本はこういった実用性に欠く

けれどしゃれが効いたモノを許容する余裕と余力がありました。が、今の日本には

残念ながらそういったものは無いでしょう。

数千円程度で買えるものならばそういったシャレも許されそうですが、数万、数十万

の物を許容する余裕はないでしょう。当時でもこのシャレバイクを「セカンドバイク」

としてとらえている人はいなかったと思います。一台自分の足を選ぶのにこういった

しゃれの効いたモノをチョイス出来る人が、当時はそれなりにいたのでしょうが、今

の人は「シャレのために苦労(小さくて乗りにくいとか)」する人というのはあまり

いないと思います。二つめにエンジン。ご存知の取り2サイクルエンジンは、バイクや

車の世界においては「絶滅種」です。

世の中に残っている2サイクルはかろうじてチェーンソーやら芝刈り機がありますが、

それも段々4サイクルになってきています。

ちなみにチェーンソーを買いに行ったとき、結構4サイクルの物があるので「だんだん

チェーンソーまで4サイクルになって来ちゃったんですね。正直森の中でこんなに

小さなエンジンが出す排ガスなんてそんな関係ないと思うんですがねぇ」というと

店員さんが「いや、使っている人の健康問題の方です」と言ってました。

つまりチェーンソーなどについてはその排ガスで「使っている人が気分が悪くなる

恐れがある」と言うことらしいんですが、一言言わせてください。

「そんな奴はチェーンソー使うんじゃない!!、森の中にも入ってくるんじゃない!」

こちとらカストロールのにおいが好きすぎて、友達のRZのチャンバーに鼻先付けて

においをかいでいたんじゃぁ!!チェーンソーごときの排ガスで気持ち悪くなるん

だったら、チェーンソー使う仕事なんかしないで、ワタミで皿洗いのバイトでも

してなさい!!・・・・・・ね、どう考えてもスカッシュみたいなバイク、二度と出て

来そうもないでしょ?あぁ、そう考えると大事にしようかなぁと思うけれども、やだね。

使ってやってこそ、乗ってやってこそです。後世にこの遺産を残すという意味では

ホンダさんがぴかぴかの奴をどっかのショールームか博物館に保管しているでしょ?

そっちに任せます。僕はこいつを足にして、皆さんの興味を引きつつ一人でも多くの

バイクファンとつながっていきたいと思います。あしからず。


何しろ環境問題でキャブ車が無くなり、あのモンキー様までもが

125ccになってしまうご時世(ちなみにモンキーは排ガス規制に対処すると50cc

では実用に耐えるパワーが出せないから125になったと言う噂を聞きますが)。

2サイクルというのがまず最初のネックです。バイクや車においては2サイクルは

絶滅危惧ではなくて「絶滅」してしまった種ですから。

なので50ccの2サイクルのバイクなんて今後発売されるはずがない。