50cc 2ストスクーター

前回「ホンダ スカッシュ」を手に入れたというのをお話ししましたが、こいつに乗って

いてふと思ったことがあるので書いてみます。

当時50ccのスクーター等というのは「足」でしか無く、かっこつける物でも大切に

する物でもなかった様に思います。ってかそうでした。

ですから、そういったスクーターは手荒に扱われ、つまり「乗りっぱなし」ってのが

殆どで、「こんなのガソリンとオイルだけ入れときゃいいんだよ」といった可哀想な

運命にあったわけです。

当然ながら入れてもらえるオイルなど「一番安いやつ」が定番で、農家のオッサン

等は「使い終わった天ぷら油でいいんだよ!」等という乱暴なことを言う人まで

いた始末(当然いいわけ無いですよ!念のため)。

実際当時は僕もそんな感覚でした。友人がパセッタ(パッソルの兄弟車)に、自分の

RZに入れていたカストロールの2Tsを入れているのを目にしたとき、「そんなに

いいオイル入れることねぇだろ!」と言ったほどですから。

その後ラブ3だとかジョグだとかの高性能スクーター(おおくが7.2馬力という

ハイパワーで、不用意にアクセルを開けると竿立ちになるほど)が出始めたときは

オイルに気を遣っていましたが、それ以前のは前述の通り。

しかし自分で手に入れてみると「もしかしてそれは間違っていたのかも」と思うことが

あります。

私もそうですが、当時の仲間達も自分の愛するバイクで出かける前はしっかりと

暖気を行います。水冷の連中は水温計を見て。空冷の連中はエンジンの音や

アクセルを開けたときのフィールを頼りに暖気を行い、有る程度エンジンが暖まって

からスタートします。

しかしスクーターはそんなことをしてもらえる余裕はありません。何しろ「ちょいと

近場に買い物に・・・」的な要素で使われるため、わざわざ切らした醤油を買いに

行くのにいちいち暖気などするはずもありません。

そしていざ走り始めれば、と言うか走り始めからいきなり「全開」です。

ラブ3等のハイパワースクーターならいざ知らず、パッソルやスカッシュなどと言った

古のスクーターは「全開にしなくちゃ走らない」訳です。

暖気もろくにしてもらえず、ほぼ最高回転数を維持して走り続ける。

有る意味レーシングマシンより過酷です。いくら全開走行を続けるといえど、ちゃんと

暖機してもらえ、オイルに気を遣ってもらえるレーシングマシンの方が遥かに

甘やかされていると言って過言ではありません。

そう、こういった「単なる足」にされるスクーターこそ、ちゃんとしたオイルを入れて

あげないといけないのではないかと思ったのです。

思っただけで何もしないとスカッシュちゃんに思いは伝わりませんから、安物の

汎用2サイクルオイルを会社の草刈り機用オイル缶にこっそりと補充してあげ、

僕はカーショップに行ってカストロールの2Tを買ってきました。これもまぁ高いオイル

じゃないですが・・・・気持ち的に幾分マシです。

ちなみにですが、この愛情に対してスカッシュちゃんはとても良いお返しをくれました。

そう、においがいい!

横浜銀蠅さんも唄ってましたね「カストロの香りまき散らし、あっさまで全開アクセル

オーン!」と。

この香り、本当に心躍りますね。楽しかった時代が走馬燈のように思い起こされます。

「走馬燈のように」等というと死にかかっているようですが、違います(きっぱり)

懐かしんでいるんです。処でカストロの香りが懐かしいと思えるのって、今何歳ぐらい

の方までなんでしょう・・・・・・?

もうあと10年もしたら「スープラ(もちろん電気自動車になっちゃって)のコイルが

暖まって焼けるにおいが最高だよな」とか言う会話を聞くようになっちゃうんでしょうか

蛇足ですが僕、電気品が焼けるにおいには恐怖しか感じません!!


追 記 :

最初2Tを入れて、前のオイルを使い切って2Tになったなとおぼしき頃から何となく

オイルの焼けるいいにおいがしていたのですが、やはりどう嗅いでもあのにおいじゃ

ないんですよ。確かに以前のものより2ストオイルの焼けた臭いはするんですが、

明らかにカストロールの香りじゃありません。聞くところによるとカストロールには

ひまし油が入っており、ひまし油は英語で「カストールオイル」。あぁ納得なんですが、

現在のカストロールにはひまし油は入っていないそうです。なのであのにおいがする

筈がない。いつまで経ってもカストロールの香りがしてこないからおかしいと思った

んですよ。でね、買いましたよ、エンジンオイル用のひまし油。スゲー高い。

しかも粘度が高すぎて分離給油には使えません。仕方がないので分離給油の

オイルタンクに少しまぜ、更にガソリンタンクにも少しだけたらしてみました。

・・・・・うーん、これが本当のカストロールの香り。ハッキリ言って全然違いますね。

2サイクルはやっぱりカストールオイル!と言いたいところですが、年のせいかあまり

激しい臭いがあるのもちょっと胸焼けしちゃう。