ロールスロイス ボートテール


皆さんはロールス・ロイスという自動車メーカーがあるのはご存知だと思いますが

その会社(正確にはその会社の中のコーチビルド部門ですが)が作った

「ボートテイル」なる車をご存知でしょうか?

僕はこの車の写真を見たとき、暫く目が離せませんでした。芸術に携わる方達が

ゴッホなりモネなりルーベンスなりの名だたる画家の名画を目にすると目が釘付け

になってしまい暫くその場から動けなくなると言うのを聞いたことがありますが、

その意味が要分かったというか、その感覚をまさに体験いたしました。

いやはや本当に「美しい」としか形容しようのないその佇まい。

古い車や綺麗にカスタムされた車やバイクに「美しい」という表現を使うことがよく

ありますが、本当の意味での「美しい」という形容はこのロールス・ロイスの

ボートテイルに使うのが正しい使い方でしょう。

僕はスーパーカー世代なのでスーパーカーってのは「一般人が乗るモノじゃない」

と言う刷り込みがされており好きだしいいなと思うんですが「欲しい」と思う事が

あまりありません。言うならば一般人がアイドルと結婚したいと言い出す様な

もので、その可能性限りなく低いわけです(ちなみにアイドルと言ってもおニャンコ

を除いた昭和の一流アイドルに限定します。おニャンコやらだとともすれば「俺でも

結婚できんじゃね?」と思いがちでしたし、AKBシリーズの大量十把一絡げアイドル

の場合本当にファンと結婚しちゃったりしますからね)。ただね、それ以外の車と

言うのは「町の中で見かけた超美人」と同じで、もしかして努力を尽くせばその

一目惚れの相手と結婚できる可能性がゼロじゃないのが如く、「もしかして」という

期待感を持ってもいい部分というのがあるんじゃないかと思うんですよ。

・・・・・・ムリなんです。

ロールス・ロイス ボートテイルというこの限りなく美しい存在。

その落札額1億円と言われるトヨタ200GTを30台買ってもお釣りが来る驚愕の

30億越え。

・・・・・・・・・ありがとな、きっぱり振ってくれて。

しかしすごいよなぁ・・・・。僕の友達で従業員20人ほどの会社を営む社長さんが

いるんですが、その会社の固定費が年間1億5千万円ほどだそうです。

昇級を考えなければその会社に働く20人の人(もしかしたらその家族)が20年間

全く働かないでも食べていける金額なんですよねぇ・・・・。

そう言うお金があるとか無いとか以前に、その金額が「車一台」というのがスゴイ。

逆に言えば20人を20年間働かせるお金があるのであれば、砂から砂鉄を選び

出してそれから鉄板なり材料を作るなどして「無」から一台の車が出来そうですね。

って、ボートテイルの素晴らしさを述べようと思っていたんですが、その値段に驚愕

しつつつい本題からはずれました。

と言ってももう言いたいことはあんまり無いんですよね。ボートテイルがどんな車か

は僕が説明するよりネットで調べて貰った方が写真も出るだろうし正確だと思う

んですが、この車何がスゴイって、お値段もさることながらその目的です。

さて、皆さんはどんな目的でこの車が作られたと思いますが?ずばり言いましょう。

「どこかすきなところに行ってシャンパン飲むためだけの車」です。

一体何それと思いますよね?僕が何を言っているか、分かりませんよね?

違います。訳が分からないのは僕ではありません。この車のオーナーです。

このボートテイル、3名のヨットに造詣が深いオーナーによってオーダーされた

ようですが、車の後部はモーターボートのデッキをもしているというか、ウッド調の

デザインが施されております。で、その中に仕組まれているのがなんと、なんと

なんと!パラソル、シャンパングラス、そしてシャンパンを適温に維持するシステム。

はぁ、おそらくこの「シャンパンを適温に維持するシステム」だけでも僕の自宅より

高いのではないかと想像しますが、一言いいですか・・・。

・・・・・・・・せめてトランクのままにしといてください・・・・・・・・・。

でも案外昔っから大富豪ってこういうことするんですよね。例えば「船に乗せても

揺れないビリヤード台」だとかもそうだと思いますが、ともすれば面堂終太郎の

別荘がそうであったように、太平洋に面した別荘にある海の見えるプール。

無邪気にそのプールで遊ぶ友人達はこのプールが実はもの凄いことを知るよしも

ない。実はこのプール、日本海からパイプラインによって海水を運んできている

プール。つまり「太平洋を見ながら日本海に浸かるためのプール」なのです!

・・・だから何?そうなりますよね。いいんです、いいんです。それが庶民の感覚です。

だけど金持ちってそんなモノなんでしょう。

それにしてもこんな車を買える人というのは「お金を使うときに考える」なんて事

きっとしないんでしょうね。 僕たちだったら「チャーシュー麺が食べたいけれど今は

給料日前だからただのラーメンにしておこう」とか思う訳じゃないですか。だけど

億を超える車を買える人が650円のラーメンと800円のラーメンの150円の差に

脳みそを使うとは思えないんです。

蛇足ではありますが、10億円あると800円のチャーシュー麺を125万杯いただく

事が出来るわけです。この計算をしたときぼく「少なくね?」と思っちゃいましたが

(何しろ10億円もあると1千万杯とか食べられそうなイメージしちゃいますから)

毎日3食チャーシュー麺を食べても食べきるまでに1157年かかります。

日本人男性の平均寿命を79歳とした場合、14.6回人生をやり直しても喰うには

困らないと言うことです。

・・・・・・一体何を言ってるんだ俺は・・・・。もう何も分からない。僕には分からない。

最後にボートテイルのオーナー様。「10万でいいのでくれませんか?」