カスタムカーとチューンドカー

ふと思ったのだけれど、最近「チューンドカー」という言葉を聞かなくなりましたね。

そりゃそうでしょうね。2000ccのノーマルで300馬力とか、GTRに至ってはなんと

600馬力オーバーですから。

ブガッティーのヴェイロンは1001馬力とか、ノーマルのクセしてバカみたいなパワー

でてますから・・・・。

昔はロータリーエンジンってパワーマシンというイメージがあったけど、最近は

ロータリーはパワー上げられないからねぇ・・・・、等という台詞まで聞く始末。

馬力も努力せずして手に入っちゃう、と言うか標準装備な時代です。

「ソレ・タコ・デュアル」って言葉、知ってますか?

ソレックスのキャブレターにたこ足エキゾーストマニーホールド、それにデュアル管

のことです。主に日産のスカイラインやZに積まれていたL型エンジンに良く使われて

いたんですが、詰まるところ吸排気系チューニングですね。

ソレックス云々以前にもうキャブレターの車なんてないし、デュアル管どころか最近は

4本マフラーが出ている車まである。

いい時代になりましたねぇ・・・・と日和っちゃうかというとそうでもありません。

なんかの漫画(湾岸ミッドナイトだったかな?)の台詞の一コマで「チューニングって

”調律”の意味なんだ」という台詞が有りましたが、そうなんですよね。

今はコンピューターが何でもやってくれちゃう時代ですが、その当時はそんな物

有りませんから、メーカーからプロダクトアウトしてきた製品(車)を、みんな自分で

調律していたわけです。

例えば上に書いたソレ・タコ・デュアルなんて、ただポン付けしただけでは大した

効果はない(どころか場合によってはパワーダウンしちゃう)んですが、プラシーボ

効果というか、ちょっとなんかすると結構変わった気になっちゃう。

更にセッティングをつめていくとこれだけで数十馬力変わることもあり、元々大して

馬力がない車なモンだから、ハッキリと変化が感じられるんですね。

これが楽しい事この上ない訳ですが、今は完璧に調律された製品が多く(というか

殆どそう)調律されていると言うことつまり、いじるとその調律を崩す事になりかね

無いわけです。

そこで車好きが向かう方向としては「カスタム(ドレスアップ)」となるのは必然

なんでしょうか?

本屋さんに行っても「ドレスアップ」の雑誌は結構あるのに「チューニング」の本って

あまりない気がします。

最近はチューニングってする人いないのかなと思って調べてみると面白いことに

気がつきました。

車は総じて「ハイパワー化」してきているのと対照的に、バイクは「ローパワー化」

してきているみたいですね。

昔は250ccと言えば45馬力が定番だったのに、最近のバイクは20馬力辺り。

原付だって7.2馬力(スクーターですら)だったのが、4馬力とか。

たまに100馬力を越えるのもあるようですが、乗ってみると昔のようなピーキーさは

無く、至って乗りやすい。

・・・・・・つまりはユーザーのニーズが変わってきていると言うことなんでしょう。

かつての2サイクル250ccのレーサーレプリカは、したは原付以下でスッカスカ。

だけど一度パワーバンドに入ってしまえば心躍る加速が楽しめましたが、今は

そういうの「乗りにくい」と評価されるのでしょう。

ここで話を戻しますが、そう、チューンドカーは乗りにくいんです。

乗りやすさと引き替えに「パワー」を手に入れる。

だけど、今の車は既にパワーが標準装備。バイクに至っては「速い」事よりも

「乗りやすい」事が重視される。

そうなると趣味としてバイクや車を楽しむときのポイントは「チューニング」じゃなくて

「カスタム」なんでしょう。

かつてはマフラー一つ変えただけで整備不良を切られたり、車検の際にはノーマル

に付け替えたりといろいろな苦労がありましたが、最近は「車検対応」の製品が

有ったり「公認」も非常にとりやすい(昔に比べて)。

環境としては良くなってきている部分もあると思うので、昔のようにバイク好きや

車好きの人がもっと増えてくれるといいなぁと思います。