タトゥーはファッションじゃないと思うぜ。



いきなりなんですが、僕はタトゥー(刺青)が好きです。

小学校だか中学校の頃、銭湯で全身にモンモンを入れているヤクザの若い衆とよく

行き会っていたのですが、彼の刺青があまりに綺麗で目が離せなくなり凝視していた

事に端を発します。

子供心に「いつか僕もあんな刺青を入れたい」と思ったのもつかの間。僕もバカじゃ

無いはずなのでそれがどんなことを意味するか理解が出来た為今僕は全身を覆う

刺青は入れておりません。ですが海外生活が長かった事もありタトゥーとか刺青に

対しては全く抵抗がないし開放的な考え方を持っています。

さて話は変わりますが、知り合いの子供がタトゥーを入れました。

女の子なんですが、太ももの内側と鎖骨の所と足の甲です。全て文字とハートなどの

ワンポイントなんですが、それを知った知り合いは「消してきなさい」ととても怒り

ましたが、本人は「タトゥーなんてファッションなんだからそれを否定するのは遅れてる」

と啖呵を切りました。

僕はどう思うかを聞かれたので以下のように答えました。

まず、学生の身分で親の世話になっているうえ、親の金でタトゥーを入れるなんて

ダサ過ぎると言うこと。本人はバイトして稼いだ金だと言っていましたが、それは関係

ありません。実家に住み、親に食べさせて貰っている分際(あえて分際と言います)で

タトゥーを入れるという行為が如何にダサイかが理解できない時点でタトゥーを入れる

資格が無いと。

いい悪いの問題ではなく「かっこ悪すぎる」。

これはファッションだとかそう言う以前の問題だと思うのです。タトゥーはご存知の通り

一度入れたら消すことが出来ません。日本においてはまだまだ否定的な意見が多い

うえ、公共の浴場などに入れないなどの制約もあるわけです。

或いは就職に影響するというのも間違いのない事実です。見える場所、女性の場合

鎖骨や足の甲(ヒールだと見えてしまいます)に入っている場合、明らかに就職出来る

範囲は限定されます。(もちろん男も同様ですが)

まだ自立できていない状況において将来の選択肢を狭める行為は許されるはずが

ない。と言うか根本的な部分で「自立しようという意志が希薄」であるからこそタトゥー

を入れてしまうのでしょう。或いは「彫り師になる」とかその他のタトゥーが入っていても

問題ない職種で生業を立てていくと決めていたとしても、タトゥーを入れるのは「生業

を立てられるようになってから」だと思います。まぁ、彫り師を目指していてその練習

の為にと言うのなら仕方がないのかも知れませんが。

いずれにしろ仮に親が「タトゥーを入れてもいいよ!」と言うような馬鹿な人だったと

しても「自立が出来るまで入れない」くらいの気持ちがないと入れるべきでは無い

と思うので、タトゥー賛成派の僕であっても親の世話になっている子供にタトゥーを

入れる資格はないと思うのです。

次に「タトゥーはファッション」という部分ですが、これ、本当にばかげた言いぐさだと

思います。

ファッション?

ファッションって流行と共に激しく移り変わる物ですから、ファッションをのたまう人と

言うのは常に新しい物に飛びついているはず。

対してタトゥーですが、一度入れたら変更は出来ません(カバーアップは除く)。

昭和の時代にハイウエストにケミカルウォッシュと言った様相のスリムのGパンが流行

したことがありますが、今それを履いていたら「超絶ダサイ」と思いますし、そんな人が

いくらファッションをのたまっても誰も頷いてくれません。

或いは回り回っていつかはまたそれがファッションになる時代が来るかも知れませんが

今は違います。ケミカルウォッシュ履いて「カッコイイだろ!」なんて言う人がいたら

多分みんなにバカにされるでしょう。

逆にそんなGパンを履いた人がファッションではなく「ポリシー」と言ったらどうでしょう。

その一言でもうバカにすることは出来ません。僕はポリシーというのはある意味

ファッションの対極にある物じゃないかと思います。ファッションが時代の流れや流行

によってドンドン変化するのに対し、時代や流行が変わっても変わらないもの。それが

ポリシーなんじゃないかと思います。

そんなわけで僕はタトゥーを「ポリシー」だと思っているので、タトゥーをファッションだ

等と言っている人はタトゥーを入れない方がいい。

まとめると「あなたはタトゥーを入れるべき人じゃないし、そもそも入れる資格がない。

だからすぐに消すべきだと言いました。

タトゥー賛成派の僕ですからきっと自分の擁護をしてくれると思ったのでしょう。

そんな僕に反対されたのでびっくりしていたようですが、心の底から「かっこ悪い」と

思ったので正直に言いました。

さて、ここからは蛇足の部分ですが、さっき僕は「タトゥーはポリシー」と言いました。

タトゥーを入れるきっかけや理由に「決意を忘れないため」とか言う人がいますが、

僕はこれもダサイと思います。タトゥーでメモしなきゃいけないような決意なら多分

大したものじゃないでしょう。100歩譲ってそれを認めるなら「文字にするな」と

言いたい。ごちゃごちゃ理由を付けなければいけないのであれば、これまたタトゥー

などしない方がいいのではないかと思います。

じゃ、何か。単純に「タトゥーが好き」が一番じゃないかと。僕はそうです。

なのでこれ見よがしにタトゥーを入れている人、タトゥーを自慢しがちな人は不愉快に

感じます。と言うよりむしろ好きではありません。

言い方を変えると「タトゥーをしている人は好きじゃない」でもいいかもしれません。

和彫りの素敵なところは股引に開襟シャツだけ羽織っていれば見えない(様な気遣い)

があるところだと思います。もちろん見えるわけですが、胸側前面の中心が切れている

とか、袖口までで手の甲に入れないとか。この粋さが好きです。

なので手の甲はまだ許せるとして顔とかに入れている人は好きになれません。

まぁ、色物的に顔を含めた全身にしているというのであればそれはそれですが。

大体ね、タトゥーを入れたからって喧嘩が強くなる訳じゃありません。なのでタトゥーを

見せて人を威嚇するような人は多分「こいつ喧嘩弱いな」と察しがつきます。

逆に全身タトゥーが入っているのにそれをみじんも感じさせない人は本物でしょう。

それにしてもタトゥーっていろんなのがありますよね。落書きみたいなのもある意味

スタイルだと思います。ベーシストのフリーのなんてある意味センスなさ過ぎだしダサイ

様に思いますが、あれはあれで彼のポリシーがにじみ出ていて見方によっては

「カッコイイ」。だからマキシマムザホルモンの上ちゃんみたいにまねする人が出てくる

訳ですが・・・。僕はアメリカントラディッショナルというスタイルが好きです。

僕は職業柄それを人目につくところには入れられませんが、カッコイイアメトラの

タトゥーをさらっと上腕当たりに入れている人を見ると「いいなぁ」と思います。

「エラく語ってるけれどお前はタトゥーしてるのか?」ですって?それは秘密です。