タトゥーを入れようと思っている人へ

ちょっと前にタトゥーについて書いたので、ついでだからこれからタトゥーを彫りたい

と思っている人にちょっとだけ僕が思うところを書かせて貰いたいと思います。

まず未成年はもちろん、学生さんや失業中の方も入れるべきではないと思います。

これ、未成年、学生、失業中とそれぞれ何でダメなのかの意味合いがちょっとずつ

違いますが、まず大前提として「刺青は自分のお金で入れる」のが最低限の基準

(と言うのも変ですが)でしょう。

と言うわけで一番わかりやすいのが「失業中」ですが、金稼げてないならタトゥーを

入れる金も無かろうが!と言うことですね。当然です。

次は未成年ですが、中学卒業して職人などに弟子入りし未成年であるにも関わ

らず自分でお金を稼ぎ生活の基盤が出来ている人もいるかも知れません。でも

「未成年」のうちは入れない方がいいでしょう。

世界中には刺青を入れる風習や文化を持つ人たちがおりますが、往々にして

そう言う人たちが刺青を入れるのは成年の儀式であることが多いことからも分かる

とおり、「未成年に施す物ではない」と言うのがその理由です。

次に学生さんですが、高校卒業して4年制大学にはいると卒業は成人式をまたぐ

事にりますね。しっかりバイトをしたり或いは事業を立ち上げて自分でお金を稼いで

いる成人もいると思いますが、「学生はまず勉強に集中しろ」という事です。

「絶対に希望する会社に合格する」とか「なんとしても○○と言う目標がある」など

その決意を刻むためにタトゥーにしたいという人もいたりしますが、もし本当にそう

なりたいのであればすべき事は勉強なりであり、タトゥーではありません。確かに

タトゥーを入れることにより決心が決まるというのはあります。でも学生がそう言う

エクスキューズでタトゥーをするより、むしろ「タトゥーを入れたいけど今は勉強に

集中」という方がいいでしょう。そしてもし目標を達成できたらその時にご褒美で

入れるってのもいいんじゃないでしょうか?

入れる場所にも寄りますが、タトゥーを入れてしまうと様々な選択肢が狭まるのは

間違いない事実でしょう。なので「学生」はやっぱりタトゥー入れちゃダメ!

と言うわけで既に成人しており且つ自立して生活できているのであればあとは

入れる入れないは本人の自由と言うことになりますね。

俺は未成年じゃないし既に仕事をして自立して生活できているからさくっとタトゥー

でも彫ってみっか!という人。・・・・・・いやいや、ちょっと待ってください。

タトゥーはご存知の通り簡単に消えません。なので本当によく考えた方がいいと

思います。どこに入れるのか、どんなスタイルのタトゥーにするのか、どんな図柄を

入れるのか。ざっと上げただけでもこれだけのことを考えないといけないのです。

腕に彫った・・・しまった見えないところに入れれば良かった!!

和彫りを彫った・・・なんだかアメリカントラディッショナルの方が格好いいなぁ・・・。

龍を彫った・・・スカルにすれば良かったな。

これ、彫っちまったらどれも取り返しがつきません。なので彫る前にじっくり考える

のが大事です・・・・なんてのはみんな言うことですよね。

じゃぁどうやって考えればいいのか。これが大事です。

まずあなたはタトゥーについてどの程度の知識がありますか?

・タトゥー、刺青、入れ墨の違いについて説明が出来る

・タトゥーの歴史を少なくとも3つ以上語れる

・タトゥーのスタイルについてしっかり説明が出来る

・タトゥーで使う道具について説明が出来る

・一つのスタイルについて1000以上のタトゥーの図柄をチェックしている

・100人以上タトゥーを入れている人の話を聞いた(或いはブログを読んだ)

・タトゥーを入れて出来なくなること完全に理解している

・タトゥーを入れている人に対する一般的なイメージを理解している

これ、もし言っている意味が分からなかったり一つでもNOがあった場合はタトゥー

を入れない方がいいか、若しくは「今入れるべき時じゃない」でしょう。

道具なんて彫り師になる訳じゃないんだから関係ないジャン。そう思ったあなた。

絶対彫らない方がいいですよ。なぜなら「そこまで興味が持てないのであれば

タトゥーに対して本当に真剣になっているわけではない」と思うので、よほどのバカ

じゃない限りきっと後悔します。

タトゥーを入れたいと思うのであればそれについて徹底的に調べるのがまず第一歩

です。これこそが「よく考える」の第一歩。

上に書いたことを全て調べ実施した場合軽く1年以上かかるでしょう。これでタトゥー

を入れようとしてから1年以上が経過したことになります。1年経ってもまだタトゥー

を入れたいと思っているのであればきっと単なるノリや勢いではなくて本当に

望んでいるのでしょう。或いはそれほど興味が無くなってきているというのであれば

「焦って彫らなくて良かったですね」と言うことでしょう。と言うわけでタトゥーを彫り

たいと思ってから最低でも1年以上待つべきでしょう。では1年考えてそれでも彫り

たければすぐに彫っていいか。いや、まだ待ちましょう。1年色々タトゥーについて

調べたりしていれば自ずと自分が入れたいスタイルと図柄というのが分かって来る

と思います。アメリカントラディッショナルの船がいいとか、ブラック&グレーのスカル

がいいとか、和彫りの羅漢仁王像がいいとか。更に腕に入れたい、脛に入れたい

背中に入れたい、胸に入れたい、耳の後ろにワンポイントなど彫りたい場所も

分かってくるのではないかと思います。が、今度は自分が彫りたいと思う図柄を

彫りたいと思っている場所に「彫ったと想像して」1年(最低でも)待ちましょう。

例えば上腕にスカルのブラック&グレーのタトゥーを入れたいと思っていたとします。

あなたは自分の上腕にカッコイイ思った通りのブラック&グレーのスカルがある事を

想像するんです。そしてそのまま1年過ごす。例えば夏にTシャツでスーパーに

行くとき、「俺の腕にはスカルのタトゥーがある」と想像して、高いところにある物を

取るときに「今はちょっとしたの方が見えたかな」とか普通にしているときは「これ

ならまず見えないな」などと想像する。ジムなどの更衣室で着替えるとき腕にある

タトゥーを想像してそれが見えても大丈夫か否か。見えることによって人が不快に

ならないかどうか想像する。温泉や大浴場に行くとき、ワンポイントならテーピング

などでかくして入れる可能性があります。だからいいというのではなくて例えば体

を洗うとき、自分の上腕にテーピングがありそこだけ気持ちよく洗えないことや、

風呂から上がったとき体は拭けるけどテーピングはじめじめしたままなのにその上

にTシャツを着る感じを味わってみる。或いは会社の旅行などでそれがあったらどう

なるか(どう思われるか)も想像する。そうして1年過ごしてそれでも尚彫りたいか

じっくり考える。そしてもう改めて「他のスタイルや柄にしたいと思ったことがないか」

や「他の場所にした方がいいと思ったことはないか」思い起こしてみる。

全てのシミュレーションに納得し、更に図柄も彫りたい場所も全く揺るぎなければ

彫ってよし・・・と言いたいところですがちょっと待ってね。その前に「いや、ゆらい

じゃいました」という人。彫るのをあきらめるか、もう一度一からやり直しです。

改めて彫りたいと思ったスタイルや図柄、場所で同じように1年シミュレーション

してみてください。

さて、「俺は一切揺るぎなかったよ」という人。あなたは彫っても大丈夫だと思う

のですが、まだ待って。あなたの周りの人は納得してますか?

奥さんや旦那さん、彼氏彼女がいた場合、そのお相手は納得してくれてますか?

納得してくれていないなら入れるべきではないでしょう。それでも彫りたいという

のであれば、なんとしても説得する。僕の友人で家族がどうしてもタトゥーにいい

印象が無く彫るのを反対されていた人が「絶対家族の目にはつかないようにする」

と言う約束をして納得して貰ったのですが、彼は上腕に入れていて普通のTシャツ

だと下の部分がすこし見えてしまうため、冬は常にロンT、夏でもロンTを5分丈で

切った自作のTシャツを着ていて、風呂上がりでさえタトゥーを家族の前に晒し

ません。このぐらいの気遣いと根性がなければ入れてはいけません。

仕事もバッチリ。彫ったとしても仕事などに差し支えはなく、彫った事によるデメ

リットも理解できたし家族も説得済み。入れたいスタイルや図柄、場所もバッチリ。

じゃ、いっちょう彫ってもらいに行くか・・・・・・となりそうですが再びちょっと待った!

・・・どこで(誰に)彫ってもらうおつもりですか?

実はこれ、凄く大事な事です。この時点において「俺はタトゥーを彫る」と決めて

いる人ならタトゥー(刺青)にはいろいろな種類があるというのも、スタイルや

図柄も色々あるというのは十分理解されていると思います。

であるなら彫り師さんの「得意分野」というのがあるのは分かると思います。

また同じスタイルであってもアーティストによって作風が異なるのは当然。

もの凄く美味しいラーメン屋の店主が美味しいカレーを作れるかどうか分からない

のと同じくもの凄く素晴らしい和彫りの作品を生み出すアーティストさんだからと

言ってその方がアメリカントラディッショナルが上手に彫れるとは限りません。

というか和彫りが得意な人にアメリカントラディッショナルのオーダーをしてはダメと

言い切っちゃいます。更に言うとひとえにラーメンと言っても味噌もあれば醤油も

あり塩もある訳です。和彫りを入れたいと思い「和彫りが得意」という人の所に行け

ばいかというとそうではなく「自分の好みの作風かどうか」も大切です。しかるに

そう言った自分の好みのアーティストさんを探すのに更に1年かけましょう。

好みのアーティストが見つからない場合。彫っちゃダメ。

好みのアーティストがもの凄く遠方だった場合。なんとしてもそこまで行きましょう。

いけるまで我慢です。タトゥーを彫りたい気持ちが固まって、彫りたい場所や柄も

決まっていればもう彫りたくて彫りたくてたまらんでしょう。でもダメです。

「しょうがないから近場で」と妥協しないでください。なんとしても自分がいいと思った

アーティストに彫ってもらう。さすればあなたはきっとそのタトゥーを一生愛せる

ことでしょう。

タトゥーはそれ自体が悪いわけではないし、においや騒音が出て人に迷惑が

かかる物でもない。でもそれを見て不快な思いをする人がいるのであれば、そこは

配慮すべき所だと思います。そしてそんな配慮が出来ないのであれば入れるべき

ではないのかも知れません。

タトゥーって好きな人からすると人に見せたくなるんですよね。見て欲しい。

でもこれは「あなたにとっては見せびらかしたい物」かも知れませんが、それを

好まない人からすると迷惑なんです。それを理解すべきだと思います。

さて、もの凄く長くなってしまいましたが、ざっくりまとめます。

・タトゥーのことを知らないうちに入れてはいけない

・未成年と自立して無い人(若しくは両方)が入れてはいけない

・入れたいと思ってから最低でも1年は考え、タトゥーについて学ぶ

・1年以上学び、彫るかどうか考えた上で「彫る」と決め、スタイル、柄、場所が

 決まったら更に最低1年「そこにあるつもり」でシミュレーションする

・タトゥーを好まない人にしてみると見えているだけで迷惑をかけている事になると

 言うことを理解し、迷惑がかからないようにする

・タトゥーを入れると出来なくなること(温泉にはいるなど)がある事を納得する

そんなところでしょうか。

ちなみに根性据わった人や暴れ者の方でタトゥーを入れている人というのは結構

いると思いますが、タトゥーを入れたからって根性が座ったり喧嘩が強くなったり

する訳じゃありませんよ。当たり前ですが。だからいくら嬉しくても「見せびらかす」

のはやめた方がいいと思います。それに紫外線に当たると劣化も早まるし。

ただね、タトゥーを入れて「精神的に支えられる」と言うことはあると思います。

繰り返しますが「タトゥーを入れたから」強くなるのではありません。タトゥーに誓って

「自分で努力する」んです。

まぁね、僕は言うなればタトゥー愛好家です。なので極道の方などは全く違った

意味合いや気持ちで彫っているのかも知れませんが、プロの極道(っていうの?)

じゃない限りタトゥーを入れている人というのはいわば「愛好家」な訳でしょ。

(ちなみにメディカルタトゥーは全く別です)だったらやっぱりまずは「彫る前によく

考える(年単位で)」というのと、愛好家同士見せ合ったり自慢しあったりするのは

いいですが、そうで無い人の前では「見せない」のを基本にした方がいいのでは

無いかと思います。