タトゥーって悪いモノなんだろうか?

アメリカでタトゥー除去希望者が増加していると言うニュース(と言うかコラム

と言った方がいいかも)をいくつか見つけました。

内容的には概ね「彼氏や彼女の名前を入れると後悔するよ」というものと

「日本人は”アメリカはタトゥーに寛容だ”というイメージがあるかも知れない

けど実際はそうでもないんだよ」という趣旨のものです。

前者はまぁ「そんな事しちゃダメだよ」という内容ですが、後者については

やんわりとタトゥーを否定していました。一言で言うと「アメリカではタトゥーが

一般的だと思ってる人もいるけど実際はそうじゃなくて、彫ったことを後悔して

消しに来る人が増えているんだよ」という内容です。

この文章から読み取れるのはタトゥーというのは世界中どこでもあまり歓迎

されるモノではないというネガティブなイメージの発信です。

というわけで、タトゥーというのは本当にネガティブなモノなのかをこの機会に

すこしだけ真面目に考えてみたいと思います。

まず何故アメリカでタトゥー除去希望者が増えているかですが、僕は単純に

「消し方が分かったから」だと思います。と言うか「消せると思った」というか。

これまでタトゥーは一生モノと言われてきました。しかしここ最近レーザーや

皮膚移植と行ったタトゥー除去の技術が上がりそれが周知されて来たので

それを実行する人が増えただけであり、昔に比べ「消したい」と思う人の数が

増えたわけではないと思います。

ここでひとつ言っておきたいのが「タトゥーは消せません」という事です。

あえて言うなら「見えなくしている」だけであり「消えてない」と思った方が

いいのではないかと思います。タトゥーはやはり一生モノなのです。

と言うことをふまえたうえで、なぜ「消したくなるのか」。

一言で言いましょう。「安易に彫るから」です。

そのタトゥーと一生つきあえるかどうかを何年もかけて(大げさではなく本当

に何年も)熟考し、どうしてもそのタトゥーを彫りたいと思った人であるならば

そのタトゥーを綺麗な状態に保つことに神経を使うことこそあれ「消したい」な

どと思うはずがないと思います。

本当に欲していたタトゥーである場合、その存在は喜びでしかありません。

いつも自分の体にそれが刻まれていることの喜びと安心感。

以前も書いたかも知れませんが、お気に入りのアクセサリーもドレスも、或いは

腕時計も幾らそれと一緒にいたいと願っても「肌から外す(体から離れる)」

瞬間がありますし、劣化したり、場合によったら強盗などに略奪されてしまう

可能性もあります。或いはもの凄くお気に入りの名画を持っていたとして、それ

を特別なセキュリティーのあるところで保管しておけば盗まれたりする心配は

少ないかも知れませんが、逆に持ち歩くことは出来ません。しかしタトゥーは

いつも一緒にいられるし、それを奪われる心配はほぼ無い(喧嘩や事故などで

傷つかない限り)わけです。心配なのは紫外線などによる劣化でしょう。

つまり本当に欲していたタトゥーというのは、それが常にそこにあること、永遠

に消えることがない事が喜びな訳です。詰まるところ消したくなるようなタトゥー

など入れるべきではないのです。そしてそのようなタトゥーを何故入れてしまう

のかと言えば「思慮、考慮、常識、判断力、想像力、忍耐力」などが無いから

だと言っていいと思います。

さて、発端は「タトゥーがいいか悪いか」の話でした。まずはその答えを出して

から長い説明(既に長いけどね)をしましょう。

「タトゥーはいいモノだ」。これが結論です。

ひとつ例を挙げましょう。傷隠しに使われるタトゥーというのがあります。僕が

目にした中で一番感動したのが、事故で人差し指と薬指の第1関節から先を

欠損してしまった人の指に「爪」のタトゥーを施したモノです。

欠損した部分に見事に爪が描かれぱっと見指が欠損しているようには見え

ません。これなどは間違いなく本人にとってそれがあると無いとでは大きな

違いであり「良い作用」をしているとしか思えません。このタトゥーを見て嫌悪感

を感じる人はいないと思います。・・・と言うことはタトゥーは「悪くない」どころか

「いい」モノなのです。では何故ネガティブな事を言われるのか。いくつか思い

当たる節を並べていくと、「昔罪人に施されていた」とか「ギャングやヤクザの

イメージがある」とか単純に「醜い」とか、結構あるんですね。これらは「タトゥー」

が悪いのではなく「タトゥーを施している人」が悪いわけで、タトゥー自体に罪は

ありません。タトゥーが人を傷つけるわけでも悪さをするわけでもないわけです。

更に言うならタトゥーは不愉快な光や異臭を発するわけでもありません。

ただ不思議なモノで「もの凄くいい人」と言われている人でタトゥーだらけって

ひとは確かあまり見ないですね。ちなみにタトゥーだらけだけどいい人の定義に

「昔ギャングだったけど更正していい人」になった人は入れません(笑)

やっぱりイメージとしてのタトゥーってのはあまりいいモノじゃないのかも知れ

ませんね。更に追い打ちをかけますが、さっき書いたように「安易にタトゥー

を入れる人というのは「思慮深くない」とか「忍耐力がない」とか「常識がない」

などと書きましたが、そういう人がいい人、或いは人格者であるはずがありま

せん。こういう人(安易にタトゥーを入れる人)というのはタトゥーが好きな人

ではなくて「タトゥーが入った自分」が好きな人なんです。ですから愚かな上に

あえて自分に入ったタトゥーを見せびらかしがちであることが更にタトゥーの

イメージを悪くするのでしょう。ちなみにですが、タトゥーを入れている者同士で

あればお互いを理解しているかと言えばそうでもありません。これはどういう事

かというと、例えばアメトラを入れている人がリアリスティックを入れている人を

みて「なんであんなダサイの彫るんだろう?」と思ったりその逆もまたしかりで

「自分の趣味に合わないタトゥーをしている人を疎ましく思う」事があります。

要するに趣味の問題なんですが、であるならなおのことタトゥーに興味の無い

人からすれば「なんでタトゥーなんて入れるんだろう?」となり、いいイメージが

付くはずがありません。

ここからが核心ですが、さっきも申し上げたとおり「タトゥー自体」は悪くない。

更に「自分が本当に欲しているタトゥーを彫ってもらえた場合満足度が高い」

と言うことを考えると、結論としては「タトゥーは悪いモノじゃない」けれど、人に

よっては嫌悪の対象になり得る可能性があるから「同じ趣味の人以外には

見えないように配慮すべき」と言うことでしょうか?

本当にね、タトゥーって「芸術」だと思うんですよ。美術館や博物館に飾られて

いる名画は「芸術品」と言って「そんなこと無いよ!」と言う人、いないでしょ?

でもその絵が好きか嫌いかは別じゃないですか。

僕キースヘイリングやアンディーウォーホルの絵はすごく欲しいと思いますが

ラッセンの絵なんてこれっぽっちも欲しいと思いませんし、もっと言えばゴッホの

ひまわりとか、ダリの時計の絵とかそう言った名だたる名作ですら欲しいとは

思いません(いや、売ってお金にしていいというなら別ですが。その物の価値と

いうか「それ自体が欲しいかどうか」という意味合いにおいて)。

それと一緒だと思います。

もし僕がゴッホの名画を持っていたとしても、それを誰にも見せなければ誰かに

何かを言われる筋合いはありません。逆に誰かに自慢してしまった場合

「そんなモノに高いお金払うなんてバカじゃないの!」とか「どうせならゴッホじゃ

なくてルノワールにした方がいいのに!」なんて言われる可能性があり、そう

なっても自業自得な訳です。それと一緒。

刺青は「好きだからこそ入れる」ものであって、ノリや勢い、或いは酔いに任せ

入れるモノでは決してありません。そうやって入れた刺青(いつの間にか刺青

と変換されてましたが「入れ墨」若しくは「タトゥー」ですね。)は美しいモノでは

ありません。幾らそのモチーフが素晴らしいモノであってもそれは美しく無いと

思います。またそれをこれ見よがしに見せびらかすというのは下劣な行為だと

言っていいと思います。下劣とまでは行かなくてもその入れ墨をいいと思わない

人にからかわれたり罵声を浴びせられても文句を言ってはいけません。なぜ

ならばそう言う文句を言う人にとって見たくないモノを見せてしまっているから

です。ただね、ノリでタトゥーを入れるような人に限って見せびらかしたがる

モノなんですよね。ひとつハッキリ言っておきますが、入れ墨を入れたからって

喧嘩が強くなるなんて事は一切ありませんからね。

いや、そうとも言い切れないな。例えば「ヤクザとして生きていく」などの腹を

くくるために入れ墨をしたのであればそれを入れる前とあとでは気持ちの持ち方

が違うので「入れ墨を入れただけで強くなる」事もあるかも知れません。が、

そういう人は入れ墨をちらつかせて威嚇などしません。

あぁ、考え抜いて彫ったタトゥーってのは本当に綺麗なんです。

やっぱりね、タトゥーが今以上に市民権を得るためにはノリで入れるバカを一人

でも無くすことが大事ですね。

だからタトゥーショップは「ウォークイン」を一切廃止して、予約してから最低1年

後じゃないと施術しちゃいけないようにすればいいんですよ。

実際にはそんなの難しいと思いますが、もしそれが実行できたらタトゥーを彫る

人は半減するとおもいます。そんなことを言うと「タトゥーアーティストが飯喰って

いけないじゃないか!」と言う人もいるかと思いますが、心配には及びません。

そこまで熟考してタトゥーを入れる人というのはおそらく更に何個も入れると

思います。何しろ本当に綺麗ですから。しかも全体のバランスなどを考えて

入れるでしょうから今のように「汚らしいタトゥー」を見せびらかす人というのも

いなくなり、タトゥーが入っている人であっても「その道の人」なのか単なる

「タトゥー愛好家」なのか判断が付くようになるのではないかと。

で、そうやってタトゥーが市民権を得るためにはさっきも書いたとおり「タトゥーを

彫ってる人が配慮」する必要があり、服を着ているときは極力見えない要に

努力するのがいいでしょう。まぁね、タトゥーが好きな人であればタトゥーが

もろに見えるような格好はしませんよ、絶対。何でかというと「紫外線で劣化

するのが嫌だから」です。まぁお風呂の時はご迷惑をかけちゃうカモですが、

逆にタトゥーをガンミして観察してみてください。もしかしたら「おっ、これいいな」

なんてのがあるかも知れませんし。そうなったら「それいいですね」と声を

かけてあげればタトゥーを彫ってる人にとってそれは嬉しいことですから

親切に色々話してくれるとおもいますよ。

で、あなたも彫ってみる?(イタイゼ!)