いきなりですが通風の話

女は出産、男は・・・・・と来ればもちろん「痛風!」はい皆さんご一緒に「痛風!」

・・・はい、良くできました。

いきなりですが私、20代の頃より痛風を患っております。

初めて痛風になったのは忘れもしない20代後半(もちろん日にちも覚えてますよ!)。

当時いろいろな理由で警察で柔道をやっていたのですが、警察の道場というのは

(僕が行っていたところは)基本剣道場で、柔道の練習をする場合、剣道場に自分で

畳を敷くんです。

その日は事件があって先生他一緒に練習していた仲間がかり出され、道場には僕と

柔道2段の白バイ隊員 佐藤君(仮名)の二人きり。

二人して「めんどくさいから畳半分でいいよね」と横着し、道場の半分しか畳を敷かず

練習を始めました。先生がいないので苦しいアップ(柔軟とかランニングとか)は

すっ飛ばし、軽くアップしていきなり乱取り。

普段は仲がいいんですが、お互い力が拮抗していたこともあり、佐藤君は「一般人の

俺などに負けられない」、僕にしてみれば「お巡りだからって調子に乗るな」との

意地の張り合いもあり、結構激しい乱取りに。ってか、乱取りから段々意地の張り合い

ですよ。投げては投げられの繰り返し。

その途中、佐藤君から払い腰を喰らった際、受け身をとったはいいけれど、畳を敷いて

いない剣道場側に、くるぶしから先が出てしまい、足の側面を剣道場の板の間に

打ち付けてしまいました。

その時は興奮していたので気にもならず、練習が終わりいつもの通り助教室で先生が

隠してあったビールやら日本酒を盗み・・・いや、分けていただいて二人で酒盛りし、

「やっぱり好き勝手に乱取り出来ると楽しいよな」などと言いつつ警察署を後にしました。

翌日、朝起きると何となく足が痛い。足の小指側がしくしくと痛むんですね。

あぁ、昨日板の間に打ち付けたから折れたかな、と軽い気持ちで仕事をこなし、金曜日

だったこともあって夜友人と天狗(居酒屋)に行き、レシートが2m位になるほどビールと

焼酎を飲みまくり帰宅。

風呂に入って寝ようと思ったのですが、足の痛みが段々激しくなっていくんです。

いずれにしろ夜も遅いし病院もやってないだろうから明日・・・・などと思って寝ようとする

んですが、足が痛くて痛くて・・・。段々尋常じゃない痛みになってきます。

ズキズキするのは一緒ですが、明らかに骨折などとは違う神経的な痛み。

これまでに経験したことのない痛みです。

これはただごとじゃないかも知れないと翌朝すぐに病院へ。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・痛風でした。

このときのお医者さん、女医さんだったんですが、後になって冷静に思い出してみると

「痛風は自己管理が出来ない人がなる病気だ」とか「自業自得だ」とか、ドクハラで

訴えたら勝てそうなことを連発しておりましたが、その時はあまりの痛さにそんなことも

気がつかず「はい、済みません」「これから気をつけます」などと従順に従いましたよ。

更にですが、「痛風です」と診断しているのに足に「包帯まかれました」。

風が吹いてもいたいと言われる痛風。それなのに包帯を巻かれたときの激痛と言ったら

シャレになりません。

包帯巻き終わって「終わりですから薬貰って帰ってください」と冷たく言い放たれ、

診察室を出た瞬間に包帯とりました。たぶんその時の僕の目、うっすら涙が浮かんで

いたと思います。てか泣いてたよ!!

クソッ、思い出したら腹が立ってきたぞあのヤブ医者め!・・・いや、ヤブじゃなかったの

かも知れないが意地悪女医め!、今度あったらこの意地悪女医が僕に何をしたか

回りの皆さんに分かるように「この前痛風になったとき、とっても痛い足に親切に包帯を

巻いてくださってありがとうございます!」とでっかい声で言ってやる!

そしてその場にいた人たちから「なんてひどい人なんだ!」「あの人はヤブ医者なのか」

と思われるがいい!!

閑話休題。

この意地悪女医の包帯攻撃がダメージを更に広げ、その夜は動くこともままならない

程の激痛にさいなまれ、苦しみの中ベッドに横たわってしのいでおりました。

これからどうなることかと恐怖におののいておりましたが、翌日、大分痛みが引き、

びっこを引きながら歩けるようになり、その翌日には何事もなかったかのように痛みが

無くなりました。これが初めての痛風の発作です。

その後会社の健康診断などで血液検査をした際、尿酸値に注意するようにしていたの

ですが、大体6.8〜8位を行ったり来たり。

高め危険水域ではある物の、その後10年ほど痛風の発作は出ませんでした。

時は流れて十数年後、のど元過ぎれば何とやらで、暴飲暴食の毎日。特に僕は肉と

ビールが大好きだったため、1ポンドのステーキを2枚食べ、ビールをジョッキで10杯飲む

なんてな愚かなことを繰り返しておりました。

そんなある日、再び足に違和感が。

ただ、このときは痛風などとは夢にも思わず、「ポキッっていえば直りそうな感じだけど

一体何だろう」程度に思っていたんですが、段々痛みが増すにつれてイヤな思い出が

よみがえってきます。「こりゃ痛風の発作じゃなかろうか?」しかし当時の僕はだからと

いってどう対処すればよいのか分かりません。

思い返してみれば、同じような事が何回か有ったんですよ。どうも足が痛い。でもその

痛さが「一度ポキッと骨がなってしまえば治るような違和感」だったことと、本当に

ポキッとなると直ったりしていたので特に注意していなかったんです。

しかしこのときは来ましたよ。激痛が。

以前と同じ足の小指辺りです。ただ、痛風は足が赤黒く腫れて熱っぽくなると言われ

ますが、僕の場合「少し腫れているかな」程度だったんです。

それに2日から3日で何事もなかったかのように直ってしまうので、その後も発作が

起きると数日耐えてそれまで。そんな感じでした。ただ、発作が起きる頻度が確実に

短くなっていることに注意すべきでした。それに尿酸値も常に8を超えるように。

こうなるとさすがに注意します。

注意し始めると分かるんですよね、前兆が。

いきなり話を変えますが、痛風というのは尿酸がたまり結晶化して神経を刺激するから

痛いらしいんです。

予防するには尿酸をためないようにすること。そのためにはプリン体を多く含む食品を

制限したり、水分を多くとって尿酸を尿と一緒に排出する必要があります。

ところが「プリン体」って旨いと思うものほど多く入っていると思って間違い有りません。

干物とか肉とかビールとか、うまい物はプリン体の宝庫です。

節制しろったってなかなかそうも行かないんですよ。薬を飲んで尿酸値を抑える事も

出来ますが、僕は薬って大嫌いです。(とはいえ最近はちゃんと飲みますが)それに

一度発作が起きてしまうともうどうにもなりません。ただただ痛み止めを飲んで耐える。

しかし痛み止めなんて効きませんからね。

だから最後の手段は「必殺水分大量摂取」です。

ここで間違っちゃいけないのは「ビール」も水分ですが絶対ダメですよ。分かりますね。

さて、話を戻しましょう。

上記したように、痛風プロフェッショナル(なんだそれ?)にもなると、前兆を察知出来る

ようになるため、前兆が出るとプリン体を控えたり水分を大量に摂取したりと悪あがきを

します。でも、神様はそんな半端者を許すはずもなくやはり発作が起きます。

40代も半ばにさしかかった頃、ランニングをしようと準備運動をしているとき、アキレス腱

を伸ばす運動をしているとどうも足の親指が曲げにくい。と言うか曲がらない。

ただ痛みなどは全然無く、それまで痛風の発作が小指側に出ていた僕はそれが痛風の

発作であることに全く気がつきませんでした。

しかしその夜、これまでの小指に起きる発作とは比べものにならない激痛が!!

その痛さからすぐに痛風だと気がつきましたよ。それに痛風は「親指に出る」というのが

定番ですからね。

いや痛いのなんの。見ると足もぱんぱんに腫れ上がってます。

こうなると四つんばいで這って移動するのもムリ。痛くて動けないんですよ。

参りましたね。本当に。

靴も履けないし、本当に痛くて動けないから会社を休みました。

ただこのときはやはり痛みのピークは2日間ほどで、発作が起きたのが木曜日だった

事もあって、金曜日休暇を取り、土、日と安静にしていたところ、何とかサンダルを

引っかけることが出来るくらいまで腫れが引き、杖をついてびっこを引けば歩けるほどに

回復したのでその状態で月曜日から出社。1週間で杖が無くても歩けるようになり、

その後1週間、杖無しでびっこを引きながら歩き、都合2週間で完治しました。

こうなるとイヤでも気をつけるようになります。

極力ビールはやめ、酒を飲むときは焼酎中心。肉も1ポンド2枚等という無謀な事は

せず、ロース100グラムだけとか、居酒屋に行ってもアンキモだとか白子などと言う

痛風持ちにとっては「毒」と言っても過言ではない(がとても美味しい事この上ない)品々

をさけ、フライドポテトだとか海藻サラダ等というヘルスィな食い物(もうおつまみとか

言ってらんないっすよ。単なる食い物ッスよ)をチョイス。

そうやって頑張っていると神様も認めてくれる・・・・と思ったのもつかの間、初めての

親指発作からちょうど1年ほどして同じように親指に発作が起きました。

発作はいきなり激痛になるというよりは、段階を追って痛くなっていくのですが、

また2週間も苦痛に耐えるのはイヤなので、何とかしようと最寄りの整形外科へ。

実は発作が起きそうなときには迅速にこの整形外科に駆け込むことにしていたので

(と言っても発作が起きそうなときは何も出来ず、収まってからザイロリックやフェブリク

等という尿酸値を抑える薬を飲むのですが、僕は常時薬を服用するのはイヤなので

カウンセリングして貰っているだけの状態でしたが)なじみになった先生から衝撃の

一言が。「今回尿酸値は通常通りだね。尿酸値は高いところから急激に低くなっても

発作が起きることがあるんだよね」と。

これを聞いた僕は「なんてこった!尿酸値を急激に落としちゃいかんという事か!」

と勘違い。冷静に考えればせっかく低くなった尿酸値、そのまま節制を続ければ

健康な体に戻れたかも知れません。

しかし痛みに翻弄される僕の頭は「急激に尿酸値が落ちる」→「発作が起きる」

と言うことは「急激に尿酸値を落とさないようにする」→「発作が治まる」と勘違いし、

家に帰るやいなや肉を焼き、そいつをビールで流し込みました。

結果・・・・・・大変なことになりました。

足はどす黒く腫れ上がり、これまで経験したことのない様な激痛。

良く「風が吹いてもいたいと聞くけれどどんな風にいたいの」と聞かれます。

お答えしましょう。煮立った油が手に付いたことはありますか?或いは皮膚が剥げるほど

激しいやけどをしたことは?もしある人がいるとするならば、それがとても小さな、例えば

指先を少しやけどするだけでも夜にはじんじんと痛みが襲い、まるで心臓が指先に

有るように感じたことはありませんか?あれが足全体だと思ってください。

つまり煮立った油に足を突っ込んで、足全体が激しいやけどを負い、それを常に刺激

されている状態を思い浮かべていただければ結構近いかなと。

当然風が吹くだけでも痛い、さわるなんてもってのほかです。

足を複雑骨折したことがありますが、痛風の方が遥かにいたい。

日本人のもとヤクザで、FBIのインチキおとり捜査の餌食になりアメリカのレベル5の

刑務所に10年服役したKEIさんという方(もちろん今は更正されて、素晴らしい事業を

展開されておりますが、その腹の括り方や生き方が自分に気合いを入れてくれるので

この方の著書を良く読みます)がその自伝の中で「指を詰める時というのは興奮して

いるし大して痛くなかったけど、その後出っ張っている骨を爪切りで切り、ヤスリを

かけて整え自分で縫うときが一番痛い」とかかれており、そんなこと自分には絶対に

出来ないなと思いつつも「どっちが痛いだろう」と密かに思うほど・・・・。

痛風の発作が起きているのにプリン体の大量摂取をした僕は、とんでもない発作に

おそわれました。これまで長くても2週間で完治していた痛風の発作ですが、今回は

激痛で動けない期間が3日間。その後松葉杖をついて何とか移動できる様になった

状態で1ヶ月。そこから普通の杖をついて歩ける物の、足が腫れて靴が履けず、というか

靴どころかサンダルも履けないので、飛行機の中やホテルでもらえる紙のサンダルを

思いっきり引っ張って履けるようにした物で移動できる状態が1ヶ月、都合2ヶ月以上

まともな社会生活が送れない状態になりました。

社会人にとって病気で会社を休むというのは底知れぬダメージなので、どうしても

動けない時を除いて、松葉杖と愉快なオリジナル紙サンダルの助けを借りて出勤。

すると案外「俺も尿酸値が高いんだよ」とか「俺もたまに発作が起きるんだよな」

と言う同士が多いことに驚かされますが、こっちは全然談笑できる状況じゃありません。

それにネットで調べてみると大体「発作はひどくて2週間程度で収まる」と有るのに

僕の場合は2ヶ月以上です。

日常的にプリン体の多い食材は摂取量に注意するのですが、僕の場合尿酸値が

6から9辺りと上下するので、どんなタイミングで発作が起きるのか予測できません。

会社の同僚に健康診断で毎回尿酸値10を超える数値をたたき出す奴がいるのですが、

こいつは常にフェブリクを服用しているにもかかわらず尿酸値は一向に落ちず、

かといってひどい発作が起きることもありません。

方や僕は上記の通り尿酸値は6から9と変動し、フェブリクなどを飲むとすぐに5を下回る

数値になるにもかかわらず、ひどい発作が起きるのは何でなんでしょうか?

とはいえ、僕ほどの痛風マスター(そんなのイヤだ!!)になると段々と対処法が

身についてきます。その方法は前述の通り、プリン体の多い食材を控え(と言うか摂取

しない)ひたすらお茶を飲んでプリン体を排出することに努めます。

トイレに行くときは尿と一緒にプリン体が体外に排出されるイメージトレーニングもする

徹底ぶりですよ!!

こうすると発作を抑えることが出来る(事があります)。

話に聞くと、発作が起きそうなときに「コルヒチン」というのを飲むと発作が抑えられる

らしいのですが、どういう訳か僕が行きつけの整形外科の先生はそれを処方して

くれません。

誰か回りに試したことのある人がいたら、その効果を聞いてみたい物です。