堪らなく楽しい数学


まず、山形大学の高橋眞映 名誉教授によって与えられた 定理とその完全な証明を述べよう:

 

定理 Rを実数全体として、 Fを R x R からRへの写像(2変数関数)で、全ての実数 

a、b、c、d に対して

 

F (a, b)F (c, d)= F (ac, bd)

 

および b がゼロでない限り、

 

F (a, b) = a/b

 

とする。 このとき、 F (a, 0) = 0 が導かれる。

 

証明 実際、 F (a, 0) = F (a, 0)1 = F (a, 0)2/2 = F (a, 0)F (2, 2) = F (ax 2, 0 x 2) = F (2a, 0)

= F (2, 1)F (a, 0) = 2F (a, 0).。 よって F (a, 0) = 2F (a, 0)、ゆえに F (a, 0)=0

 

これは 分数の積の性質 (a/b)(c/d) = (ac/bd) を持つもので、分数をゼロ除算に(分母がゼロの場合に)拡張する、如何なる拡張も ゼロに限る a/0=0 ことを示している。― これは、拡張分数の基本的な積の性質(a/b)(c/d) = (ac/bd)だけを仮定(要請)すると、ゼロ除算は ゼロに限る a/0=0ことを示しているので、その意義は 決定的であると考えられる。 この定理は千年以上の歴史を持つゼロ除算に 決定的な解を与えていると考えられる。

 

チコノフ正則化法や一般逆の方法では、一つの自然な考え方で導かれることを示しているだけで、いろいろな拡張の可能性を排除できない。 道脇方式も同様である。 一意性定理とは、そもそも何、何で定まるとは、その、何、何が定める性質の本質を捉えていて、導いた性質の本質、そのものであると言える。高橋眞映教授の定理は 証明も簡潔、定理の意義は絶大であり、このような素晴らしい定理には、かつて会ったことがない。 数学史上の異色の基本定理ではないだろうか。

ゼロ除算は、拡張分数が 積の公式が成り立つと、積極的に性質を導いていることにも注目したい。― ゼロ除算を導入できても、演算法則が保証されなければ、何もできない事態も考えられる。

 

ゼロ除算は 千年以上も、不可能であるという烙印のもと世界史上でも人類は囚われていたことを述べていると考えられる。世界史の盲点であったと言えるのではないだろうか。 ある時代からの 未来人は 人類が 愚かな争いを続けていた事と同じように、人類の愚かさの象徴 と記録するだろう。 人は、我々の時代で、夜明けを迎えたいとは 志向しないであろうか。

数学では、加、減、そして、積は 何時でも自由にできた、しかしながら、ゼロで割れないという、例外が除法には存在したが、ゼロ除算の簡潔な導入によって、例外なく除算もできるという、例外のない美しい世界が実現できたと言える。

以上の3つの捉え方は、確定的であり、数学はゼロ除算100/0=0,0/0を確定せしめていると考える。

そこで、それでは、それはどのような意義があるのかと議論を進めたい。

 

  (以下、次号)