堪らなく楽しい数学


tan 90度はゼロ)

tan 90度、あるいは 2分のパイが ゼロであることは、解析幾何学や微積分などに広範な影響を与える。 極座標 x = cos theta, y = sin theta を考えると tan theta = y/xであるから、x=0の場合を考えたくなるのが道理である。ゼロ除算は何時でもy/0はゼロであり、そのときは曖昧な プラス無限大でも、マイナス無限大でもなく ゼロであることを述べていて、すっかり美しくなる。3次元で極座表を考えると、より明瞭に分かるだろう。

 

2直線

a x + b y + c = 0,

A x + B y + C= 0.

 

を考える。それらの勾配はk = - a/b, K = - A/B であるが、b = 0 のとき、ゼロ除算で k, K = 0で この結果は良く合っていることが分かる(ゼロ除算では y軸の勾配はゼロである)。 さらに、2直線の直交条件  k K= - 1 は,

 

an (pi/2 =0 = +,- (k - K)/(1+ k K),

 

で、良く合っていることが分かる。

 

次に、2次曲線

 

a x^2 +2 h x y + b y^2 +2g x + 2f y + c =0

 

を考えて、座標回転

 

x = X cos theta - Y sin theta,

y = X sin theta + Y costheta.

 

で、xy の項を消そう。 x,yを代入して、

 

A X^2 +2 H X Y+ B Y^2 +2G X + 2F Y + C =0.

 

と纏めるとH = 0 である条件は

 

tan 2theta = 2h/(a – b)

 

であるから, 例え、a = b の場合でも、ゼロ除算で

 

tan pi/2 = 0, theta = pi/4

 

となって良く合っている。

 

2直線 y=tan theta x x = 1 のy座標  tan theta を考える。theta がゼロから、正の pi/2 に近づけば、どんどん増大して限りなく大きくなるが、pi/2の時、突然、

 

an (pi/2=0

 

である。 平行線になって、 直線x = 1とy軸は交わらないからである。 ゼロ除算はこのように、破壊現象を数学的に厳密に表現していることを広範に知るだろう。

(x,y) 平面上の単位円を考える。 単位円と直線 y= (tan theta) x の交点における接線( theta .はゼロとpi/2 で考える)のx 軸の交点座標を (R(theta)0) で表す。その点と接点までの距離L(theta)は、

 

Ltheta = tan theta.

 

で与えられる。

 

L0 =tan 0 =0,

で、ゼロ除算で

 

an pi/2 =0.

 

(R(theta),0) における半径Ltheta)の円C(theta)は 単位円に直交する。theta =0の時円C(theta) は点(1,0)になり、その曲率はゼロである。 C(pi/2)は奇妙な状態になる。 先ず、R(theta) の2乗が 1 + Ltheta^2  だから、R(pi/2) = 1 で、半径、曲率ともにゼロ除算でゼロになっている。これらは、theta =pi/2 における強力な不連続性を示している。

 

       ( 以下、次号 )