堪らなく楽しい数学


(微分係数からゼロ除算を考える)

y軸の勾配がゼロであることは、大きな意味を有する。 ゼロ除算の実在感を実感できるのではないだろうか。

関数 y =  に対して、

 y =


 

ゼロ除算で、

[ y ]x=1= 0, [ y ]x=1= 0


 

であるが、これは  x=cosθ, y=sinθ に対し

 

   =  = - cotθ

 

となることからも理解できる。


y = tan x に対して

y =  から


[ y ]x=π/2 = 0.

 


これらは、それらの点で接戦がy軸に平行であるから、幾何学的にも良く理解できる。

関数 y = log x に対して y =   だから

[ y ]x=0 = 0

 

で、ゼロ除算1/0は当たり前のように理解できる。

微積分学で微分係数がプラス無限やマイナス無限が 実はゼロであるというゼロ除算は、微積分における多くの例外的な条件を外して、一般的に成り立つことが分かる。

簡単な例を上げると、公式

 =

() =  

 

など、分母がゼロにならない条件を付けて考えてきたが、分母がゼロであっても 例外なしに成り立つという 美しい公式になる。

 

次のように面白い現象が顕になる:

ニュートン法は方程式f(x) =0の解を計算機で求める基本的な方法であるが、それは

 =  - ,  n = 0,1,2,・・・

で定義される数列{}を考えて、数列の極限値で方程式の解を求める方法である。

 

幾何学的には 接線のx 座標で解を近似して行く方法である。 ここで、もちろん、f(=0ならば、この操作は既に求める解であるから、上記の操作は中止される。この手順で、従来では、

f (xn) = 0

を入れると 計算機障害が起きる場合(計算機が計算できない状態)であるが、ゼロ除算は上記の操作が 解と同様に上記の手順で改善できないことを示していて、誠に美しい結果になっている。接戦がx 軸と交わらず、平行になっている場合を表している。

微分係数がゼロである場合のこのような知見は 解析学に大きな影響を与えると考えられる。

 

    ( 以下、次号 )