堪らなく楽しい数学


(奥村博氏によって発見されたゼロ除算から得られた驚くべき幾何学的な結果)

x, y 座標平面上で、xの正座標を中心(軸)とする角領域を考える。便宜的に原点を頂点とする角領域の角は小さく例えば30度とする。その角領域に例えば半径1の円が内接しているとする。そこで、この半径1の円をどんどんxの正方向にずらして行くが、何時でも角領域に接するようにするために角領域の角の大きさは、円が正方向にずれれば,次第に角が小さくなって行くような状況を考える。問題はどんどん円が正方向にずれて行った時の限界を考えることである。円はどんどん正方向に飛んで行くだろう。とことん飛んで行った場合どうなるだろうか。きりがないとも考えられよう。この様子を角領域の角の大きさに注目すると、どんどん頂角は小さくなり、最終的にはその角はゼロになり、角領域はつぶれてxの正軸自身になってしまい、円の行方とは違って、究極の状況が捉えられる。円はそのとき、どうなっているだろうか。その状況をきちんと数学的に定式化して(そんなに難しくはない)円の極限状況を求めると ゼロ除算の結果は何とその円が、突然、頂点、原点を中心とする円になるというのである。

正の無限の方向に行った先が、突然、頂点に、原点を中心とする円になる。 ― 驚きではないだろうか? 楽しい。

さらに、凄いことが分かる。円に接していた2つの接線は一致しているが、極限の場合一致した正のx 軸は 実は、原点に中心を持つ円の接線になっているという。円とx軸は直交していてそんなはずはないと考えられよう。しかし、点(1,0)で 正のx軸の勾配は勿論ゼロであるが、その点における円の接線の勾配は、従来は無限と考えられてきたが、ゼロ除算では勾配がゼロであるから、共に勾配がゼロという意味で、それらは接していると解釈できるのである。これは驚きではないだろうか。   円の接線の勾配がゼロであることは、y軸の勾配がゼロであるとか, tan  = 0 であるとして ゼロ除算の大事な結果であることを述べてきた。― 多くの微分方程式の教科書で 円が満たす微分方程式を導いているが、導かれた微分方程式がy軸に平行な接線を持つ点で、従来は微分可能が言えず、実は微分方程式を満たさない例外の点が有った。 ここに、従来の数学の欠陥が現れている。例外の点が存在する。ゼロ除算の考えでは、例外は存在せず、円全体で微分方程式を満たす微分方程式の表現が得られる。数学は美しく、完全である。

上記、奥村氏の例で、角領域を固定して、今度はずらして行く時 何時でも角領域に接するように円の半径を大きくして行く状況を考えてみよう。正方向にすらして行けば、円の半径はどんどん大きくなって行く。極限の状況はどうなるであろうか。ゼロ除算の結果は、今度はその究極の円が、原点、1点,半径ゼロの点円になることが、ゼロ除算の結果数学的に導かれる。この点円は、逆に、始めの円であるとも考えられる。円を原点の方に近づければ、実際、原点の点円になる。

 

点から点に終わる全体の様を考えてみよう。まるで、人生のようではないだろうか。ゼロ、点から、始まって、誕生して、経験や知識、思い出、仕事など どんどん増大するが、やがて最後に至って、突然、始めに、ゼロに戻っていると解釈できよう。

― 人々よ 何も思い煩うことはない、みんな元に戻って行く。何も心配することばない。気を楽に持とう。

結局みな同じ様だから。

 

             ( 以下、次号 )