(ゼロ除算と比,盲点、ゼロ除算の原理)
ゼロ除算の本質を厳密議論で展開すると、まず、1/0 =0と定義する。このことの意味は、無定義であった形式、分数で、ゼロで割る形の分数を考えて、ぞれをゼロと定義するというのである。ここで、1/0 の意味が明らかでないので、ここの表現は実は大問題で、大事である。意味も分からずに定義したのかという批判が出るであろう。意味も分からず、形式を考えてそれをゼロと置いた。ここは, 既に述べてきたように、一般逆や、山田体、高橋の一意性定理、あるいは道脇の除算の固有な意味付けから、数学的に厳密な議論ができるが、ここでは新しい論理を述べようとしている。この形式1/0をゼロと定義する。分数の形に対してである。世に現れている分数の形に対してである。ここはくどいが、形式で所謂、1割る0の意味とは、直接は関係させないで、形だけを考えている。― 特に、高橋の一意性定理の意義を深く考えたい。 そこで次に、基本的な関数 W=1/z や y=1/x において、定義された形式から、それらの関数の原点での値はゼロであるとなる。 逆に、この結果を保証するために1/0 =0と定義した意味の全てである。厳格議論を進めるためには、ここから始めても良い。 すなわち、基本的な関数 W=1/z や y=1/xにおいて、原点での値はゼロであると定義する。これを、ゼロ除算の公理して、現代数学の公理系に加えれば良い。― ここは大げさに公理とはよばず、定義として加えるだけで十分である。
すると、基本的な関数 W =
(n 整数) のz = aでの値は n がゼロ以外のときはゼロで、n がゼロのときだけ、1である。ここでは、便宜的に
は1と定義して置く。 これは全く、便宜的である。 これでゼロ除算算法が定義できる:
形式的な べき級数を考える:
f(z) =
これは数学的には解析関数の孤立特異点z = a の周りのローラン展開と言われるものであるが、ここでは全く収束などは考えないで、無限の項の和と考えても良い。f(z) はそのような形式的な和を置いたものと考える。ゼロ除算算法とは この等式で f(a) = とする方法である。
― 再び厳格議論について触れるならば、このゼロ除算の定義を現代数学に加えるだけで、ゼロ除算の世界を展開できる。そしてその影響は甚大である。― 上記の等式で、負べき項が無く、収束している場合にはf(z) のテイラー展開と呼ばれるもので、当然、等式が成り立つが、ゼロ除算で、
W = ,
,
・・・,
,・・・,
など全て、z = a でゼロであるから、負べき項が有っても等式が成り立つということを述べている。ローラン展開における係数は一意に定まり、多くの場合にはC_0は、統一的な方法で求められるから、ゼロ除算算法は具体的に計算できると考えられる。
これでゼロ除算の原理は確立していると言える。最大の意義は、基本的な関数 W = 1/z や y = 1/x において、原点での値はゼロであると定義する ことに有って、それがアリストテレスの連続性の概念やユークリッドの空間の概念を変える、新しい空間の概念が現れたことである。我々の初等数学の広範な部分で、ゼロ除算が関係している部分で相当な変更、補充が要求されている。現代数学は不完全であり、ゼロ除算の導入で完全になる。
なお、ここで、1/0 = 0 から、上記の論理でゼロ除算算法が定義され、恒等的にゼロの関数のローラン展開からゼロ除算算法で、0/0 = 0が導かれることを、論理上の問題として触れておきたい。1/0 = 0 から0/0 = 0が出る、1/0 = 0 が基本であるということである。
ここでは、ギリシャ哲学、思想で重要な比の概念から、ゼロ除算の拓く世界を見てみよう。比は 有理の概念に通じ、数が整数の比で表される、基準の比で表されるという概念でギリシャ哲学の基本思想とみられる。ゼロ除算はm : n の比を全ての場合に考えられるという例外のない命題を確立させるが、物事の本質を明らかにするために、典型的な場合に考えてみよう。
実軸上の異なる2点 (
)と
(
)
(
<x<
)
を考え、 それを1 : R に分ける点
X =
を考えよう。 R =1 ならば、x は と
の中点であり、R が正ならば xは 点
と
を1 : R に内分している。-1 < R <0 ならば、x は
と
とを外分し、
より左手に存在する。 同様に R <-1 ならば、x は
と
を外分し、
より右手に存在する。
ここで、R が +無限大のときも,マイナス無限大のときも, x が に近づいていくことが、 x = [
]
/ [ (
) + 1 ]
と変形して、極限値を考えると良く分かるだろう。― 限りなく
に近づいている。 アリストテレスの世界観、連続性の概念で人は、R が +無限大のときも,マイナス無限大のときも, x が
に近づいていく、
になると考えてきたと言える。近づいていくから、なるだろうと考えて来た。しかしながらここの考えには、曖昧さがあり、+、マイナス無限が一致して同じ点になる? そもそも無限大とは何かなど、極めて、謎めいた状況が存在すると考えられる。― 幾らでも大きくなる、その先はどうだろうか?
そこで、R の動きの全体を見てみよう。実数全体で考えている。上記の考えで、考えていない唯一つの数値が存在して、それはRが -1のときである。この値は何と考えてはいけない、xの表現式で、分母をゼロにする値である。そのとき、分子は –
でゼロにはなっていない。従来は、強いて考えれば、そのとき、無限大と考えてきたのではないだろうか。ところが、何と、この値が、きちんと
をゼロ除算算法は表現していた。そのとき、x の表現式で、分母はゼロ、分子はゼロになっていない。x の表現式で 分母がゼロになる場合にも意味を有していた ― これが ゼロ除算算法が拓いた世界である。
このように基本的なことが抜けていたということは、数学の盲点で信じられないような欠陥を示していると言えるだろう。これはギリシャ時代以来2000年を越えた、新しい世界の発見であると言える。
( 以下、次号 )